東京都区部消費者物価指数1月中旬速報値の生鮮食品は高い上昇率
全国、東京都区部とも消費者物価指数は2022年から2024年まで3年連続で「食料」と食料の中の「生鮮食品」の前年比がプラスの伸び率になり、「総合」「生鮮食品除く総合」の伸び率を上回った。3年連続の高騰ともなると、天候要因は一時的な要因ではなくなっている。異常気象の影響で、代わる代わる何某かの食品が高騰する状況だ。
東京都区部消費者物価指数の2025年1月中旬速報値では、「生鮮食品」は前年同月比プラス23.8%と高い伸び率が見られた。「生鮮食品」を含む、「食料」の前年同月比はプラス7.7%の上昇である。
1月の前年同月比は、キャベツプラス204.6%、うるち米(コシヒカリを除く)プラス72.8%、みかんプラス37.3%、チョコレートプラス30.2%、コーヒー豆プラス19.0%の上昇と、多岐にわたり高騰している。
2024年産の米は、2023年産より生産量は18万トン増えたが、JA(農業協同組合)などの大手業者による集荷量は前年を約2割下回ったという。コメの価格高騰が続く中、農林水産省が流通を円滑にするために政府の備蓄米を活用できるよう運用を見直した。これまでの「大凶作や連続する不作」などに加え、「主食用米の円滑な流通に支障が生じる場合であって、農相が必要と認めるとき」を新たに加えたことは、目先、幾分かの米の価格安定策としては評価できよう。
ただし、2025年2月速報値の東京都区部の消費者物価指数の調査日は、2月12日、13日、14日のうちのいずれかだ。1月31日に運用見直しを決めたのなら、政府備蓄米の放出方針を巡り対象者や数量、入札の方法は2月14日に発表するのではなく、2月7日に行えなかったのか。消費者物価指数という統計を通して消費者のマインドに与える影響が1カ月遅れてしまうことが残念だ。

1月景気ウォッチャー調査・現状判断DI前月差▲0.6ポイント。内訳では、飲食関連が前月差▲3.2ポイントと大幅低下
2025年1月の景気ウォッチャー調査で、現状判断DI(季節調整値)は前月差マイナス0.6ポイントと3カ月ぶりに低下し48.6となった。内訳を見ると、家計動向関連DIは、サービス関連が上昇したものの、ほかの分野は低下したことから前月差が低下した。中でも飲食関連が前月差マイナス3.2ポイントと大きく低下し、全体の足を引っ張った。野菜など生鮮食品の高騰が響いているようだ。
企業動向関連DIは、非製造業が前月差マイナス0.1ポイントとわずかに低下したものの、製造業が前月差プラス1.5ポイントと上昇したことから全体で上昇した。雇用関連DIは前月差マイナス0.7ポイントと低下した。
対して、現状水準判断DI(季節調整値)は前月差プラス0.3ポイントと3カ月連続上昇で48.0となっている。現状判断は、方向性と水準の2指標の変化の方向が逆となっているが、変化幅は1.0未満と小幅で、概ね横ばい圏で推移したとみることができる。
1月の先行き判断DI(季節調整値)は、前月差1.4ポイント低下の48.0になった。一方、先行き判断DI(原数値)は前月差プラス1.0ポイントの上昇で47.9になった。
1月景気ウォッチャー調査では年に1度の季節調整替えが行われた。2024年の現状判断DIで新旧比較してみると、新型コロナウイルス禍の影響が一段と薄れたのか、新しい季節調整値では、緊急事態宣言などが発令され経済活動が停滞したことが多かった4月と5月がともに0.7ポイント上昇している。一方、12月がマイナス0.9ポイント、11月がマイナス0.8ポイントとなった。
1月「価格or物価」関連現状判断DIは38.4で23年1月以来2年ぶりの低水準。野菜など生鮮食品を中心とする食料費の高騰が影響
1月景気ウォッチャー調査で、全体の判断DIと同じ手法で価格または物価に関するコメントのデータだけから算出した「価格or物価」関連現状判断DIは、38.4となった。これは2023年1月の35.1以来、2年ぶりの低水準だ。これには最近の野菜など生鮮食品を中心とする食料費の一段の高騰が影響しているとみられる。
現状判断のコメント数は280名で12月より53人も増加した。一方、1月先行き判断DIは40.5で、こちらは12月39.7から0.8ポイント上昇した。
しかし、先行き判断のコメント数は375名で12月より42人増加、2023年8月の404人以来の多さになっている。指数はやや改善しても、低水準でコメント数が大きく増えたため、前月との寄与度差で見て全体の先行き判断DIの足を引っ張った。
