魅力的な金利水準とECBの利下げ転換に欧州債券市場が活気づく。そんな同市場でにわかに注目が高まっているのが、「バイ・アンド・ホールド」ならぬ「バイ・アンド・メインテイン」戦略に基づく債券運用だという。いったいどのような戦略なのか。来日したアクサ・インベストメント・マネージャーズ(アクサIM)の債券運用ソリューション責任者およびポートフォリオ・マネージャーに話を聞いた。

アクサ・インベストメント・マネージャーズ
アクサ・インベストメント・マネージャーズ
ヘッド・オブ・フィクストインカム・ソリューション・パリ
マシュー・エマニュエル・ルヴィリオン氏(写真左)
ポートフォリオ・マネージャー
ジャック・アレクシス・モケ氏(写真右)

良好なファンダメンタルズに支えられた欧州債券市場

欧州債券市場の現状はどうか。

ルヴィリオン 現在、欧州の債券市場には非常に旺盛な投資需要がある。発行体サイドのバランスシートを見ても、金融機関・事業会社ともに新型コロナウイルス禍での落ち込みから収益がはるかに改善し、レバレッジ水準も健全な水準に抑制されている状況だ。

現在の欧州債券価格は全体的に割高だとの意見もあるが、こうしたファンダメンタルズの良好さを踏まえれば、長期的に見てフェアバリューと言えるだろう。引き続きマクロ経済の悪化や地政学的な緊張の高まりには注意が必要だが、そうしたリスクシナリオでも、現在のフェアなクレジット価格から下落する余地は大きくないと考えている。

こうした中でどのような債券が注目されているか。一例として、LDI(債務重視の運用)を志向する年金基金の間で、SSA債(政府・政府機関・国際機関が発行または. 保証を行っている債券)へ関心が高まっていることが挙げられる。国債よりもスプレッドが高く推移していること、そして2024年7月のフランス国民議会選挙の混迷の中で国債よりSSA債のほうがボラティリティが抑制されていたことが、年金基金の関心を引いた格好だ。

なお欧州年金基金について言えば、近年LDIからCDI(キャッシュフロー重視の運用)に移行する基金が増えているトレンドが顕著になってきている。人口の高齢化に伴い、年金運用の戦略立案の軸が確実な拠出の実現へと移り変わっているためだ。

CDIを志向する年金基金の間では、より予見可能なインカム収益と、強力な下振れリスクのプロテクションを併せ持つ債券投資機会へのアクセスが勝負所になっていると言えるだろう。

アクサIMが提供する「バイ・アンド・メインテイン戦略」はCDI志向の年金基金と相性が良いと聞いた。

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