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来週を考える|The Week Ahead 身動き取れないユーロ圏経済2024年8月16日(金)配信号
「スタック・イン・ザ・ミドル・ウィズ・ユー」という1970年代の英国のヒット曲の歌詞に、一方には道化師、もう一方にはジョーカーがいて、何かがおかしいという感覚を拭えないというくだりがあります。
同じようなことが現在、ユーロ圏経済に言えるかもしれません。公平を期すために付け加えると、成長環境は1年前、あるいは今年の初めよりも改善しています。第1四半期にはリセッションからの脱却に弾みがつき、景気回復への期待が高まりました。しかし、第3四半期の半ばに差しかかった現在、この期待は少々、楽観的過ぎたことが明らかになってきています。GDPは既に小幅に回復したものの、国内需要、特に家計消費の回復は、歴史的に見て非常に低い失業率にかかわらず、大幅に遅れています。
問題の一端は間違いなく、インフレをなかなか抑制できていないことにあります。現在、モノのインフレはパンデミック前の水準に確実に戻っていますが、サービスのインフレはまだパンデミック前の水準を大きく上回っており、欧州中央銀行(ECB)の目標から乖離しています。
ECBはこの原因を、パンデミック後のインフレで失われた購買力を埋め合わせるために賃金が一度だけ調整されたことにあると見ており、これからの2年で目標インフレ率に戻るとの予想を変えていません。
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