トランプ氏再選の確率は50%。貿易縮小と地政学リスクが懸念点

野村総合研究所
金融ITイノベーション事業本部
エグゼクティブ・エコノミスト
木内 登英
主任研究員慶應義塾大学法学部卒、早稲田大学大学院ファイナンス研究科ファイナンス専攻専門職学位課程修了。2003年大和証券株式会社に入社、リテール営業や経営企画部などを経て2010年に株式会社大和総研に転籍。日本株式ストラテジスト、企業金融の調査などに従事。2019年より現職、企業の資金調達・運用に関する調査を担当している

2024年11月の米国大統領選にてトランプ氏が再選する確率は足元で5割とみる。カギはインフレとトランプ氏の裁判だ。バイデン氏は11月までにインフレを収束させ、米国民の不満を解消できるかが課題である。一方でトランプ氏にとっては特に刑事裁判の行方が肝となろう。もし有罪判決で禁錮ともなれば、大統領として不適切と評価されかねない。また可能性は低いが8月の民主党党大会で大統領、副大統領の候補者が変わることもあり得る。大統領選はまだ不確実性が高い状況だ。

トランプ氏が再選した場合、産業界および家計にも負の影響が出やすいと考える。最大の要因は貿易の縮小だろう。共和党政権では一般的には規制緩和や減税など産業寄りの経済政策がとられるが、トランプ氏の場合には米国第一主義、保護主義的な政策をとる可能性が高い。エネルギー産業など一部業種にはプラスに働くが、貿易の縮小は産業界全体にとってはマイナスだ。またトランプ氏の言う追加関税の積極導入が実現すれば、物価が上昇し、個人の負担増に繋がる。

経済産業界に負の影響が出れば、当然株式市場にも陰りが見えるだろう。トランプ政権に移行し、米国第一主義に回帰した際には安全保障面でのリスクが高まるといえる。例えばウクライナが停戦できない状態で米国が軍事支援を打ち切れば、ウクライナは不利な方向に傾き、特にヨーロッパの安全保障上のリスクが上昇する。また中東の地政学リスクも高まるおそれがある。共和党の中でもキリスト教福音派を支持母体とするトランプ氏は、バイデン氏よりもイスラエル寄りの姿勢が強いと考えられるためだ。

中東は既にガザ地区とイスラエルの問題ではなく、イランとイスラエルの問題へと拡大しつつあり、足元で原油価格も高騰している。地政学リスクの上昇はリスク資産、特に株式市場への逆風となりやすい。

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