欧州議会選挙にも刮目せよ!
地味な欧州議会をあえて見ておこう!
2024年は特に株式市場を中心に、世界中で強気のマーケットが続いている。どれだけリスクがあっても、それをうまくコントロールする力が働いているから、かもしれない。それもそのはず、かもしれないのは、今年は世界中で選挙があるからだ。
日本だって、まだこれから6月国会期末を目指した解散総選挙がないとは言えないし、米国では大統領選挙の舌戦がまさにこれからヒートアップすることになる。欧州だってそうだ。英国は秋に選挙があるし、欧州議会選挙は6月6日から同月9日と迫っている。
本記事ではその中から、どう考えても地味な欧州議会選挙を取り上げる。選挙まで秒読みに入った現在、6月の欧州議会選挙で何が注目されるのか、市場への影響はどうかなど、整理しておきたい。
欧州議会選挙のイロハ
欧州議会選挙は5年に一度。今回の選挙は10回目にあたり、6月6日から9日の間のいずれかで行われる。4月25日の本会議を最後に、現時点では選挙キャンペーン期間中である。
欧州議会には総議席数と国別議席配分の原則がある。リスボン条約により、長年の間、総議席数は751名、国別配分を最少6、最大96議席としてきた。しかし、英国のEU離脱があるなどした結果、その原則も少しずつ変更。総議席数については、今回から現在の705名から720名に増加する。
人口に応じて議員数が決められるものの、“議員1人当たりの市民の数”で見れば各国には差がある。各加盟国の議席数と全人口の相対的な割合を見ると、最小国のマルタは議員が約9万人に1人であるのに対し、最大の国ドイツではほぼ88万人に1人となっている、など偏りが激しいのだ。ただし、こうした国の違いを過度に意識させないためか、議会の着席をはじめ、議員は国ごとではなく会派ごとにまとまるものであることは踏まえておきたい。
選挙結果は6月10日に明らかになる予定だ。新議会のメンバーは7月16日に就任し、年内に各欧州委員が選出されるほか、欧州委員長など要職者が任命される。選挙後、議長会議が開かれ次第、具体的な日程が決定されるという手はずになっている。
選挙後のプロセスや、主要イベントの具体的な日程(一部は未定)についてはこちらのリンク(欧州議会)を参照されたし。
欧州議会の重要性とポイント
欧州議会のEU内での権限は、欧州理事会や欧州委員会ほど強力なものとは言えない。だがその影響力を過小評価したり、6月の選挙を市場にとり無風のイベントと考えたりすべきではない。なぜなら、欧州議会は、EUの新法制定権限を持つ唯一の組織である欧州委の構成を決める重要な役割を果たしているからだ。
EUの法律を修正、阻止することもでき、国会の下院のような役目も担う。ゆえに6月の選挙は、EUの予算から貿易協定に至るまで、また単一市場の改革から新たな加盟国への組織拡大に至るまで、今後5年間のEUの政策を形成することになる、と言える。
そこで、今回の欧州議会選挙で注目すべき3つのポイントを以下に指摘する。
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