日銀マイナス金利解除後の日米金融政策
FOMCは年内利下げを強く示唆
FRB(米連邦準備制度理事会)は、2024年3月20日に開かれたFOMC(米連邦公開市場委員会)で、5回連続で政策金利の変更を見送った。声明文の記述は前回と同様であり、「委員会は、インフレ率が持続的に2%に向かうとの確信が得られるまで、政策金利の誘導目標のレンジを引き下げるのが適切とは思わない」という、利下げに慎重なフォワードガイダンスを維持した。
しかし、会合後の記者会見でパウエル議長は、初回の利下げは「年内のある時点」となる可能性が高い、と従来の発言を繰り返している。他方、足もとでのインフレ指標の上振れについては重視しない姿勢を示し、「我々がその確認に達し、利下げが実施されるという認識を、大半の人が抱いている可能性はなお高い」とし、年内の利下げ開始の可能性が高いことを示唆している。
今回のFOMCでは、バランスシートを縮小させる量的引き締めの議論も予定されていた。毎月最大950億ドルの縮小を継続することが決定されたが、パウエル議長は、バランスシートの縮小ペースをかなり早期に減速させることが適切、と述べた。利下げとともに、量的引き締め策の修正も行われる時期が近づいている。
年内3回の利下げ見通しは維持
今回のFOMCで最も注目されたのは、参加者による先行きの政策金利(FF金利)の見通しだ。予測の中央値で見ると、2024年中の政策金利引き下げ幅は合計で0.75%程度、0.25%刻みで3回の利下げが予想された。これは前回昨年12月時点での見通しと変わらない。当時と比べて、FRBの利下げ開始時期についての金融市場の見通しはかなり後退しているが、それでもFOMCによる年内の利下げ回数の見通しが変化しなかったのは予想外のことだ。
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