1~3月期GDPは1次速報から上方修正

角田 匠(信金中央金庫)
信金中央金庫
地域・中小企業研究所
上席主任研究員
角田 匠

2023年6月8日に公表された2023年1~3月期の実質GDP(国内総生産)改定値は、前期比0.7%増、年率に換算して2.7%増と1次速報値の年率1.6%増から上方修正された。

公共投資が前期比1.5%増と1次速報値の2.4%増から下方修正されたものの、法人企業統計季報の結果を反映して、設備投資が前期比0.9%増から1.4%増に上方修正された。個人消費は前期比0.5%増と1次速報値とほぼ同じ伸び幅だった。

成長率の上方修正に大きく寄与したのが在庫投資で、年率寄与度は1次速報値のプラス0.4ポイントからプラス1.6ポイントに改定された。供給制約の緩和を受けて自動車生産が上向いてきており、メーカー各社がその前段階である部品の在庫を積み増していることが背景にある。自動車の生産が進む4~6月期には部品在庫が減少するとみられ、在庫投資が成長率を押し下げる方向に寄与すると予想される。

1~3月期は高めの成長となったものの、新型コロナウイルス禍からの回復軌道は依然として緩やかなペースにとどまっている。実額ベースの実質GDPの水準は、1~3月期時点でもコロナ禍前の正常な活動レベルと考えられる2019年(暦年)の水準を0.3%下回っている。米欧のGDPがすでに2019年の水準を取り戻したことと比べても回復の遅れは顕著である(図表)。

【図表】日米欧の実質GDPの推移(新型コロナウイルス禍前2019年=100)
日米欧の実質GDPの推移(コロナ前2019年=100)
出所:内閣府
※米欧は各国資料

新型コロナウイルス禍からの正常化が景気回復の原動力に

もっとも、新型コロナウイルス禍からの回復が遅れている分、日本経済には回復の余地が残されている。日常を取り戻そうとする家計行動が広がるだけでも個人消費の水準は押し上げられるとみられ、この力が2023年度の景気回復を下支えしよう。

新型コロナウイルスの感染症法上の分類が季節性インフルエンザと同等の「5類」に移行され、家計の消費行動は正常化に向かい始めている。新型コロナウイルス禍で抑制されてきた外食やレジャーといったサービス関連消費は今後も回復が続くと予想される。また、供給制約の緩和を受けて乗用車の納車が進み始めたことも耐久財消費の回復に寄与するとみられる。

値上げの動きが食料品から日用消耗品や衣料品などにも広がってきたことで非耐久財の消費は伸び悩んでいるが、サービス関連をけん引役に個人消費は2023年度の景気回復を下支えするセクターになろう。

供給制約の緩和が海外経済の減速に伴う下押し圧力を減殺

海外経済の減速で1~3月期の実質輸出は前期比4.2%減と大幅なマイナスを余儀なくされた。中国経済の回復テンポが鈍いこともあって、当面も生産用機械や電子部品を中心に輸出は弱い動きが続くとみられる。

ただ、自動車は世界的にバックオーダーが積み上がっており、生産体制が整うにつれて、自動車輸出の水準が切り上がると予想される。また、世界的な行動規制の緩和を背景にインバウンド需要が持ち直しに向かうことも外需のプラス要因になる。輸出から輸入を差し引いた純輸出は、2023年度も引き続き成長率の押下げ要因となるが、マイナス寄与度は2022年度の0.6%ポイントから0.2%ポイントに縮小すると予想している。

2023年度の実質成長率は1.1%と2022年度の1.4%から伸びが鈍化するものの、四半期ベースのGDP水準は2023年7~9月期に2019年(暦年)の水準を超えてくると予測している。経済活動が新型コロナウイルス禍前の水準まで持ち直すことで景気の回復感はむしろ高まってくると予想される。