LSEG(ロンドン証券取引所グループ) デジタル経済:今こそ行動を起こすとき
現代経済を牽引しているデータの自由な越境移転について、これを保護するための取り組みが求められるようになっています。ロンドン証券取引所グループのデビッド・シュウィマー氏が、G7諸国に求められるデジタル経済推進の動きについて説明します。
地政学的緊張でデジタル経済の整備は遅延
G7(主要7カ国)サミットは、約50年前、1970年代のエネルギー危機への対応を目的として開催されて以降、高い失業率とインフレへの解決策といった現在の問題に至るまで、その時代の様々な世界マクロ経済の課題を取り上げてきました。
経済の成長と繁栄を確保するというG7サミットの使命に早急な対応が必要であることは今日でも変わりはない一方で、主要先進7カ国はウクライナ・ロシア危機への収束と気候変動対策に精力的に取り組んでいます。今月後半にG7のリーダー達が集う広島でのサミットは、デジタル経済の分断化というもう一つの重要な課題にも向き合う機会となるでしょう。
デジタル経済は、現代社会のあらゆる場面で革新をもたらしてきました。国境を越えたデータ移転は、ホテルや航空券の予約からサイバー犯罪への対策に至るまで私たちの仕事や生活をその根底から支えているだけでなく、グローバル・トレーディング・プラットフォームなどに見られるように、金融市場の秩序ある効率的な運営を容易にしています。
クラウドへのアクセスやリモートワークの促進など、データの越境移転の必要性はあらゆる規模、セクター、地域の組織において普遍的なものです。
ただし、それが大きな可能性を秘めているにも関わらず、デジタル経済の潜在的な力は未だ十分に解き放たれていないのが現状です。その力を引き出すためには、世界の経済大国が断固とした決意を持って、共通の目標に向かって共に行動する必要があります。
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