CBREグループは、世界に480拠点を持つ世界最大級の事業用不動産サービス会社だ。同社の特徴や不動産市場のトレンドについて、マネージングディレクター ヘッド・オブ・キャピタルマーケットの辻貴史氏に話を聞いた。

辻貴史氏
シービーアールイー
マネージングディレクター
ヘッド・オブ・キャピタルマーケット
辻 貴史

御社の事業内容を教えてください。

 当社は、不動産賃貸・売買仲介サービスをはじめ、不動産鑑定、プロパティマネジメント(不動産に関する資産や施設の管理業務)、各種アドバイザリー業務など幅広いサービスを提供している。例えば、日本市場への参入を検討する海外投資家や海外展開を検討する日本の事業会社に対して、物件情報の提供や投資アドバイザリー業務を請け負うほか、機関投資家の投資判断の材料となるような市場調査・分析情報を提供している。

近年は、海外の機関投資家がアジアの不動産市場への投資を加速させている。とりわけ、低金利環境・政治の安定性・為替の安定性から、日本の不動産市場への資金流入が伸びている。こうした状況の中、当社は海外の公的年金や生命保険会社、投資ファンドなどに向け、市場調査・分析情報やコンサルティングサービスを提供している。今後、国境をまたいだ取引がさらに活発になれば、世界のあらゆる地域にネットワークを持つ当社グループの強みが発揮されると考えている。

不動産市場のトレンドを教えてください。

 これまでは、賃貸借マーケットが成熟しているオフィスや住宅などが人気を集めてきたが、近年は物流施設やデータセンター、ホテルなど、オペレーターの運営能力が不動産収益を左右する「オペレーショナルアセット」に関心が集まっている。

投資対象としてオペレーショナルアセットの価値を見極める場合は、オペレーター企業の運営能力だけでなく、オペレーター企業が所属する業界のトレンドを把握することがポイントになる。例えば、物流施設の場合、Eコマース(電子商取引)が普及したことで保管機能に優れた倉庫から迅速に仕分け・梱包・出荷ができる機能やITインフラを備えた倉庫へと需要が移り始めている。また、ホテルであれば、国内ビジネスマンの短期宿泊向けに一人部屋を多く用意するホテルが中心であったが、近年は訪日外国人旅行者の宿泊を想定し、2~3人部屋を多く用意するホテルや長期滞在にも対応できる施設に人気が集まっている。

このように、オペレーショナルアセットの本来の価値は、物件を取り巻くあらゆる要素によって決まり、直近の財務情報だけでは見えてこない。不動産に関連する幅広いサービスを手掛ける当社なら、多角的な視点から不動産本来の価値を総合的に見極めることができる上に、分析に基づく投資戦略の提案が可能だ。