『J-MONEY』の姉妹誌で、企業IRの情報を発信する『J-VISIONS』が主催するオンラインセミナーが2026年9月25日に行われた。「IRの最新潮流 取締役・サステナビリティ・エンゲージメント」と題した同セミナーでは、上場企業のIRやガバナンスにまつわるさまざまなトレンドについて、著名な専門家が社外取締役、機関投資家、研究職・コンサルタントというそれぞれの立場から語った。

社外取締役に求められること

はじめに、国際社会経済研究所理事長の藤沢久美氏が「社外取締役の仕事」と題して講演した。

藤沢氏も就任している社外取締役が求められる役割は、大株主が経営する企業、上場間もないスタートアップ、成熟した大企業で異なると説明。「2026年夏のコーポレートガバナンス・コード改訂を経て、待ったをかける『監督機能』と後押しする『エンパワーメント機能』の双方が求められるようになるのでは」と分析しつつ、自身はアドバイザーではなく、経営ボードの一員である自負を持つように留意していると述べた。

藤沢久美氏が「社外取締役の役割」について講演。識者が語る企業IRの「最新潮流」
藤沢久美氏

運用会社のエンゲージメント

アモーヴァ・アセットマネジメントのサステナブルインベストメント部・共同部長の野田清史氏は、「企業価値向上に向けたサステナビリティとガバナンスへの期待」について語った。

自社のエンゲージメントに関する取り組みを紹介しつつ、機関投資家が企業の開示をどう活用しているかなどIRを取り巻く現状を解説。企業側からよく質問を受ける「議決権行使助言会社の推奨を参考にしている?」「統合報告書で特に注目する情報は?」「SR対話で得た情報はどのように活用される?」など、リアルなやり取りとその回答を披露した。

アモーヴァ・アセットマネジメントのスライド
アモーヴァ・アセットマネジメントの野田清史氏は「議決権行使についてよくいただく質問」に基づいて、同社の議決権行使に対するスタンスを語った

IRにおける情報開示のポイント

最後のパネルディスカッション「企業情報開示の方向性とエンゲージメント」では、青山学院大学名誉教授・東京都立大学特任教授の北川哲雄氏と、前・住友商事専務執行役員CSOの住田孝之氏が登壇した。

北川哲雄氏(右)と住田孝之氏(左)
北川哲雄氏(右)と住田孝之氏(左)

北川氏は、企業情報開示は①戦略・リスク②ガバナンス③サステナビリティ・ステートメント④財務ステートメントの4つに大別されると指摘。企業のIR担当者には「投資家とフェース・トゥ・フェースの活動を積み重ねていくと、アクセスポイントは無駄なく決まってきます」とアドバイスした。

一方の住田氏は、「誰に価値(喜び、幸せ)をもたらせたい?」「活動を可能にするためのリソースは?」などの質問への回答を記入しながら企業経営の基幹となる価値を探る「経営デザインシート」の活用法を紹介しつつ、「企業側には、伝えたいことが伝わるために、相手がどういう言葉やロジックならば理解できるのか考えて実践してほしい」とエールを送った。

オンラインセミナーの動画は「J-VISIONS Online」で配信中

「J-VISIONS 第1回IRオンラインセミナー」のアーカイブ動画は、ウェブサイト「J-VISIONS Online」で公開中。上場企業でIR関連業務に携わる方や、機関投資家・アセットオーナーなど企業に投資する立場の方の双方にとって有益なものとなるだろう。

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