2026年4月調査で37人と満票で第1位だった景気リスク「原油価格の高騰や高止まり」が7月には20人減で第2位に。「国際関係の緊張や軍事衝突」は7月第1位だが4人減。回答が分散するかたちに

宅森 昭吉
景気探検家・エコノミスト
宅森 昭吉

日本経済研究センターが取りまとめているエコノミストのコンセンサス調査である「ESPフォーキャスト調査」の7月調査が7月15日に公表された。回答数は37人だった。調査期間は7月1日~7月8日だが、最新の情報まで考慮するために最終日に回答するESPフォーキャスターが多いと思われる。

米中央軍は7月7日に、商船3隻への攻撃の対抗措置として、イランに対し精密誘導弾で80以上の標的を攻撃した。米・イランが6月に署名した戦闘終結に関する覚書を踏まえた交渉の行方が一層不透明な状態になったという事実は、多くのESPフォーキャスターの回答に反映されたと思われる。

しかし、7月調査では、「半年から1年後にかけて景気上昇を抑えるリスク要因(3カ月毎に調査、複数回答)を尋ねる特別調査」に関し、4月調査で緊迫した中東情勢に関連する回答が集中していた状態から変化が見られた。

4月調査の景気リスク第1位は37人の満票で「原油価格の高騰や高止まり」、第2位が24人で「国際関係の緊張や軍事衝突」だった。一方、回答者数が37人と4月調査と同じだった7月調査では、「原油価格の高騰や高止まり」の回答が20人と大幅に減って17人になり、「米国景気の悪化」と並んで2位タイに後退した。代わって第1位になった「国際関係の緊張や軍事衝突」は20人で4人回答数がこちらも減少した。これまで2ケタの回答がなかった「IT部門(電子部品など)の悪化」が14人で第4位に上昇し、「株価の急落」が13人で第5位になった。高リスク要因の対象が拡散したかたちになった。

■「ESPフォーキャスト調査」特別調査結果・主な景気のリスク(複数回答、3つまで)の推移
「ESPフォーキャスト調査」特別調査結果・主な景気のリスク(複数回答、3つまで)の推移
出所:日本経済研究センター
(注1)半年から1年後にかけて景気上昇を抑える(あるいは景気を反転させる)可能性がある要因。最近4回で2ケタを記録したもののみ
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6月調査に比べすべての四半期でやや鈍化と落ち着きを見せる、7月調査の2026年内の消費者物価指数・生鮮食品除く総合の前年同期比・予測平均値

中東情勢の影響による物価上昇が気になる局面である。しかし、7月調査の2026年内の消費者物価指数・生鮮食品除く総合の前年同期比・予測平均値は6月調査に比べすべての四半期でやや鈍化と落ち着いてきている。7~9月期の予測平均値は6月調査+2.08%から7月調査は+1.96%と鈍化した。10~12月期も+2%台だが6月調査+2.55%から7月調査は+2.49%へとやや鈍化した。その後は、2027年1~3月期の+2.95%まで上昇を続けるが、4~6月期から伸びは低下し、10~12月期には+2.08%に鈍化する見込みだ。なお、消費者物価(生鮮食品除く総合)前年同期比(「食料品消費税時限的減税」の影響含む)の予測平均値では2027年10~12月期には+0.62%になるだろう。

名目賃金指数の予測値は年度で尋ねているが、予測平均値は2026年度前年度比+2.77%、2027年度前年度比+2.63%だ。消費者物価指数は帰属家賃を除く総合や総合の予測値はないが、生鮮食品を除く総合では予測平均値は2026年度前年度比+2.25%、2027年度前年度比+2.30%だ。2027年度消費者物価(生鮮食品除く総合)(「食料品消費税時限的減税」の影響含む)前年度比の予測平均値は+0.91%だ。実質賃金は若干のプラスが見込まれ、賃金と消費の好循環が生じる可能性は大きいと思われる。

■消費者物価(生鮮食品除く総合)前年同期比、予測平均値
消費者物価(生鮮食品除く総合)前年同期比、予測平均値
出所:ESPフォーキャスト調査

ESPフォーキャスターの26年内金融政策見通しで、6割弱が日銀は「12月に利上げ」と回答する一方、8割がFRBの金融政策は「動かない」と回答。

日米の2026年内の金融政策と政策変更時期の見通しについてそれぞれ尋ねている。日銀に関しては37人が回答し、34人が「利上げ」、そのうち「12月」が22人と全体37人の6割弱だ。「年内は動かない」と3人が回答している。

一方、FRB(米連邦準備理事会)の2026年内の金融政策については、全体36人の8割の29人が「年内は動かない」だ。ほか4名が「利上げ」、3名が「利下げ」と回答した。

■ESPフォーキャスト調査7月調査(回答数37)の、2026年内の日銀の金融政策と政策変更時期の見通し
ESPフォーキャスト調査7月調査(回答数37)の、2026年内の日銀の金融政策と政策変更時期の見通し
出所:日本経済研究センター
■ESPフォーキャスト調査7月調査(回答数36)の、2026年内のFRBの金融政策と政策変更時期の見通し
■ESPフォーキャスト調査7月調査(回答数36)の、2026年内のFRBの金融政策と政策変更時期の見通し
出所:日本経済研究センター

2026年末の予測平均値、ドル円レートは1ドル=158円42銭、日経平均株価は6万9,473円75銭。2027年末の平均的見通し、ドル円レートは1ドル=153円68銭、日経平均株価は7万2,400円24銭。ESPフォーキャスト調査・7月調査では、2027年末にかけてドル円レートはやや円高方向の予測になっている。

■マーケット関連データの期末予測値、予測平均値
■マーケット関連データの期末予測値、予測平均値
出所:日本経済研究センター「ESPフォーキャスト調査」