さまざまな要因を背景に、今後は運用マネジャーの二極化が進むと指摘されるなか、多くの機関投資家は、元本保全と利回り確保の両立に向けた検討を急いでいる。ミューズニッチ・ジャパンが提供する3つのプライベート・アセット戦略は、投資対象のクオリティの高さから、投資家ポートフォリオの効果的な分散に寄与する戦略として注目を集めている。

※記事中の為替レートは1米ドル=156円、1ユーロ=180円で計算

長期思考の下、徹底したリスク管理型アプローチ

林 晃裕氏
ミューズニッチ・ジャパン
在日代表
林 晃裕

中東をはじめ各地で軍事衝突が発生し、石油資源をめぐる経済的混乱が続くなど、市場の先行きは一段と見通しにくくなっている。また、AI(人工知能)の進展を背景に、今後は運用マネジャーの二極化が進むと指摘される中、機関投資家の間では多様なリスクが意識され、投資対象資産の再検討やポートフォリオの見直し、さらなる資産分散への関心が高まっている。

「なかでも、中長期のリターン向上を目指して組み入れたオルタナティブ資産について、元本保全と利回り確保の両立を求めるニーズが強くなっているようだ。いわば投資しているファンドの中身の『クオリティ』に着目する動きであり、このトレンドは日本だけでなく、世界の多くの機関投資家に共通するものと言えるだろう」(ミューズニッチ・ジャパン在日代表の林晃裕氏)。

1988年設立の米ミューズニッチ社は、世界各地に18の拠点を構えるクレジット投資の専門家として、保険会社、年金基金、金融機関、富裕層などに対し、パブリック市場およびプライベート市場を通じて多様な運用戦略を提供している。オーナー系非公開会社のメリットを活かし、いずれの戦略も長期思考の下、元本保全に重点を置いた徹底したリスク管理型投資アプローチで運用している。

同グループの2026年3月31日時点の運用資産残高は419億米ドル(約6兆5,364億円)。同社は欧州の生命保険会社向けのハイイールド債券運用からスタートし、創業から40年近く経った現在も、徹底的なボトムアップ・クレジット分析のもと、安定的かつ長期的な資産保全を重視する投資哲学「キャピタル・プリザベーション(元本保全)」を貫く。

不透明な時代における安定した収益源として注目を集める同社のオルタナティブ戦略。今回は、投資家の効果的な分散投資に貢献する、『クオリティ重視』の3つのプライベート・アセット戦略を紹介する。

図表1 ミューズニッチ社のグローバル運用プラットフォーム
図表1 ミューズニッチ社のグローバル運用プラットフォーム
出所:ミューズニッチ社。運用資産残高および従業員数は2026年3月31日時点のもので、ミューズニッチ社およびその全ての子会社・関連会社を含みます。本資料は説明・例示目的のみに提供されています。上記の目標が達成されるとの保証はありません。リスク管理はリスクの把握および管理に努めるものですが、リスクが低い、または存在しないことを意味するものではありません。*投資期間中のプライベート・デット口座については、投資家からの総グロス・コミットメント額を示しています。**運用残高には、一任運用残高(AUM:151百万米ドル)および助言資産(AUA:555百万米ドル)の双方が含まれます。助言資産とは、ミューズニッチ社が投資先の選定または投資助言に関して継続的な責任を負うものの、裁量権を有しない資産を指します。資本拠出額は、アビエーション・ファイナンス・チームが完了した取引において、運用残高、運用助言残高、共同投資を含む。最初の取引は2020年9月21日。

Solution 1ミューズニッチな欧州プライベート・デット戦略競合が相対的に少ない欧州ローワー・ミドルマーケットにおける投資妙味

ポートフォリオの「地域」と「セグメント」の双方を分散

足元のネガティブなヘッドラインはあるものの、日本の機関投資家の間ではオルタナティブ資産の一つとして、ダイレクト・レンディング(DL)戦略の活用が引き続き広がっている。一方で、市場の不透明感が高まるなか、DLにおいてもクオリティ重視の傾向が強まっている。そこで引き合いが増しているのが、『ミューズニッチ汎欧州プライベート・デット戦略』(以下、本戦略)である。

本戦略は、EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)が500万ユーロ~2,500万ユーロ(約9億円~約45億円)のローワー・ミドルマーケット企業を主な投資領域としている。ミューズニッチ社がプライベート・デットでローワー・ミドルマーケットをターゲットとするのは、企業規模が相対的に大きいコア/アッパー・ミドルマーケットと比べて、より魅力的なリスク調整後リターンが期待できるためだ。

「例えば、米国DLへのエクスポージャーが大きい投資家であれば、本戦略を活用することで、欧州企業への投資による地域分散と、ローワー・ミドルマーケットへの投資によるDLにおけるセグメント分散の双方を図ることができる。大型株中心の資産構成に中小型株を加えるイメージで、投資対象となる企業規模をコア/アッパー・ミドルマーケットだけでなくローワー・ミドルマーケットにも広げることで、発行体の分散度を高め、ポートフォリオ全体のリスクを抑えることが期待できる」(林氏)。

図表2 リスク特性―ダイレクト・レンディング市場と『ミューズニッチ汎欧州プライベート・デット戦略』の比較
図表2 リスク特性―ダイレクト・レンディング市場と『ミューズニッチ汎欧州プライベート・デット戦略』の比較
出所:2025年12月時点のDebtwire社公表の2025年度欧州ダイレクト・レンダー・ランキング。利用可能な最新の情報に基づく
注記:(1)マーケット・データは、規模の大きいPIK案件を除外して集計ミューズニッチ社の見解および意見は説明のみを目的としており、投資助言として解釈されるべきものではありません。

競合の少ない領域でリスクを抑えながらスプレッドを確保

欧州のローワー・ミドルマーケット企業の事業領域は所在国の国内市場が中心となるため、融資を行う際には、各国・地域の言語や商慣習などを理解した専門家のリサーチが重要であり、深い知見や経験を有する人材が求められることから、参入障壁は相当高いと言える。同社は創業間もない頃から欧州に多くの拠点を有し、各拠点に運用プロフェッショナルを配置している。現地の運用プロフェッショナルが地域に根差し、ミューズニッチ社のグローバルな運用インフラのサポートを受けながら、融資候補企業の信用力や成長性、事業・経営の特性などを詳細に調査している。

企業規模が小さいとデフォルトリスクが高まるのではないかという懸念もあるだろう。これについて林氏は次のように語る。

「デフォルトを決定・けん引する要因として最も大きいのはレバレッジ水準、つまり負債比率で、企業規模要因は実は小さい。融資対象企業の規模の小ささにリスクがあるのではなく、借入比率が高く、経営の柔軟性が低い状態こそがリスクと言える。本戦略が融資する企業の財務レバレッジ水準は足元3倍程度であり、裏を返せば自己資本比率は非常に高い。財務の健全性については足元、特に注視している」。

さらに、欧州などで市場金利が高止まりするなか、企業が稼いだ利益が支払利息をどれだけ上回っているかを示すICR(インタレスト・カバレッジ・レシオ)の水準にも目を配っている。「足元のポートフォリオにおける平均ICRは約4倍を確保している。これは、コア/アッパー・ミドルマーケットのICR水準と比べてもかなり高いのではないか」(林氏)。加えて、ローンの利息支払いが満期まで繰り延べられ元本に加算されていく「PIK(ペイメント・イン・カインド)」案件には原則として取り組まないこと、全投資案件に自己資本比率などの財務指標を一定水準以上に保つことを定めたメンテナンス・コベナンツを設定することなどを通じて、元本保全のための厳格な姿勢を貫いている。

コア/アッパー・ミドルマーケットはDLマネジャー間の競争が激しく、信用スプレッドのタイト化が進み、また、コベナンツ設定も緩和傾向にあり、商品特性としてバンクローンと大差ない戦略も少なくないと言われる。さらに、ファンド規模が大きくなると、より多くの投資先を見つけるか、より大規模の案件に投資するかを迫られるが、多くは後者を選択し、ローワー・ミドルマーケットから退出していく。その結果、広範な欧州ローワー・ミドルマーケットにアプローチ可能な運用能力と資本を有するミューズニッチ社の存在感はますます高まっている。

ミューズニッチ社は本戦略を通じて、ローワー・ミドルマーケット企業のLBO(レバレッジド・バイアウト)などを資金使途とする案件に対し、融資を積み上げてきた。2013年の運用開始以降、95件超の案件に総額19億ユーロ(約3,420億円)を融資し、投資を回収した30案件の加重平均グロスIRR(内部収益率)は10.0%に達している。この実績は、同社が創業以来重視してきた「リスクを抑えながらスプレッドを確保する」というアプローチの有効性を裏付けるものと言えよう。スプレッドは650bps(ベーシスポイント)台を維持しており、足元で500bps前後までタイト化しているコア/アッパー・ミドルマーケットと比べても、依然として相対的に魅力的なリターン水準となっている。

日本の機関投資家の要請に応えエバーグリーン型を設定

本戦略について、日本ではこの1年で4社の大手機関投資家が合計約150億円コミットしている。

「日本の機関投資家からの要請に応え、2026年3月にはエバーグリーン型(円ヘッジクラス)を設定した。投資家は、クローズド・エンド型では、ファンドの償還期限を迎えるたびに新しいファンドに再コミットする必要があり、管理対象のファンドが増えるという課題があるが、エバーグリーン型であれば、原則として追加契約なしに投資を継続できる。今後も、本邦投資家のニーズに即した商品開発に取り組んでいきたい」(林氏)。

Solution 2ミューズニッチ欧州パラレル・レンディング戦略欧州で55超の銀行と協業して変動金利ローンを提供

銀行の優良顧客にアクセス同一条件(パリパス)で融資実行

『ミューズニッチ欧州パラレル・レンディング戦略』は、同社が欧州の55超の商業銀行と連携し、欧州のコア/アッパー・ミドルマーケット企業に第1順位抵当権付き変動金利シニアローンを提供するプライベート・デット戦略だ。ミューズニッチ社と銀行はパートナーとして、パリパス(返済順位が同じ)、比例配分、同一の融資契約書に基づき共同で融資を行う。

ポイントは、ファンドの組み入れ候補となる融資案件が銀行側から持ち込まれる点にある。パートナー銀行からは、毎年300件超の融資審査済みで、財務内容も比較的良好な投資案件が提案される。そのなかから、ミューズニッチ社の銀行業界で豊富な経験を有す投資プロフェッショナルが投資案件を選別することで、より保守的で戦略に沿った融資が可能となる。

また本戦略は、欧州各国・地域の銀行と提携することで、ミューズニッチ社は銀行が引き続き融資可能な優良顧客向け案件をポートフォリオとして投資家に提供できる。一方、銀行側はミューズニッチ社と共同融資することで、資本負担を抑えながら優良企業との取引関係を維持できるなど、双方にメリットがある。

図表3 ミューズニッチプライベートクレジット戦略とその他欧州非投資適格クレジットの比較
図表3 ミューズニッチプライベートクレジット戦略とその他欧州非投資適格クレジットの比較
出所:1.指標は汎欧州プライベート・デット3号戦略ポートフォリオに基づく(2025年12月31日時点)2.指標はDLFIIポートフォリオに基づく(2025年12月31日時点)。最新の入手可能なデータを使用。 3.年率換算手数料およびOIDを含み、EURIBORを除く。 4.投資期間終了時点における当社の内部推計に基づき算出。 5.Debtwire社「Q425-European Direct Lender Rankings」。 6.Muzinich内部分析(2025年12月31日時点)。 7.PitchBook社「European Leveraged Finance Q4 2025 Quarterly Market Trend Lines」。 8.Q4 2025ユーロ・ハイイールドのスプレッドおよびリターン(ICE指数、BofA Global Research) 9.Moody’s社「Financial Key Metrics Data Report」(2025年11月時点、EMEA地域の非金融法人対象)。本資料に記載されたミューズニッチ社の見解および意見は説明目的のみに提供されるものであり、投資助言とみなされるべきものではなく、予告なく変更される場合があります。

欧州だけで9拠点のローカル・プレゼンスを活かす

『ミューズニッチ欧州パラレル・レンディング戦略』は2018年の運用開始以来、これまでに300件超の投資案件へ合計約24億ユーロ(約4,300億円)を拠出してきた。IRRは7%ー9%(ユーロベース)程度、損失率(年率)はゼロである。「優良案件が中心のため、全天候型の堅実なリターンが期待できる。この長期安定的なパフォーマンスには、欧州だけで9カ所のオフィスを構えるローカル・プレゼンスと、企業訪問や経営陣との面談を重視した丁寧なファンダメンタル・リサーチも大きく寄与していると言えるだろう」(林氏)。

パラレル・レンディングは、ミューズニッチ社と銀行の双方が審査した融資案件で構成されるため、元本毀損および金利支払い不履行のリスクが低いと言える。実際、欧州企業を対象とした1号・2号ファンドは、新型コロナウイルス禍やウクライナ危機といった環境下でも、元本はもちろん、金利支払いの不履行や遅延もなく、魅力的なリターンを提供し続けている。

なお、米国パラレル・レンディング戦略も開始している。

Solution 3ミューズニッチ・アビエーション・オポチュニティーズ戦略担保付融資とリースを組み合わせた航空機投資戦略

“B”トランシェの引き受けで高いリターンの獲得が可能

ポートフォリオの運用安定化を図るうえで、DLの「次」の分散先を模索する機関投資家に対し、ミューズニッチ社はABF(アセットベース・ファイナンス)の一角である「航空機投資戦略」を紹介している。

航空機投資戦略には主に2つの手法があり、1つは航空機を担保として資金を融資する“航空機ファイナンス”、もう1つは航空機をリースする“航空機リース”である。いずれも航空機という実物資産を裏付けとしたクレジット投資であり、特に航空機ファイナンスは、航空会社がデフォルトした場合でも、担保資産の換価によって元本のほぼ全額回収が期待できる。

「航空機投資分野ではリース戦略に特化する運用マネジャーが大半を占めるなか、当社航空機投資戦略は、融資とリースを組み合わせたハイブリッド型ソリューションであることが特徴だ」(林氏)。

『ミューズニッチ・アビエーション・オポチュニティーズ戦略』(以下、本戦略)の運用スキームの柱の一つであるストラクチャード・ファイナンスでは、航空機を担保とする優先担保付ローンを“A”トランシェと“B”トランシェに分け、銀行が“A”トランシェを引き受け、“B”トランシェをミューズニッチ社が運用するポートフォリオなどで保有する(図表4)。これにより、“B”トランシェでは高いリスク調整後リターンの獲得が可能となる。

本戦略は、グロス10%(ネット9%-10%)以上の現金利回り(年率)を目標としている。最新型航空機という強固な担保資産によってダウンサイド・リスクを抑制しつつ、伝統的なアセットクラスとの低い相関性を活かして分散効果を高める。LTV(総資産に対する有利子負債の割合)の厳格な管理を通じて元本保全を重視し、安定的かつ魅力的なトータルリターンの獲得を目指す。

航空機需要はコロナ禍で一時落ち込んだものの、新興国の中間所得層の所得水準拡大に伴う旅客需要の急増などを背景に、2026年の世界の航空旅客数は前年比4.9%の成長が見込まれている。こうした旅客需要の増加に対応するため新造機が必要とされているが、航空機製造大手のボーイングやエアバスは、コロナ禍で生産を一時停止していた時期の受注分をいまだ納入しきれていない。機体の供給不足は2030年まで続く見通しであり、この需給ギャップが成長の源泉となり、今後も航空機価値を押し上げる要因になると考えられる。

「航空機の製造遅延により新造機の供給が不足し、中古機市場は需給逼迫で過熱している。これに伴い中古機価格やリース料は足元で上昇傾向にある。一方で、航空機リース市場では機体確保をめぐる競争が激しく、将来的な利回り低下リスクも意識される。こうした環境下において、ファイナンスとリースを組み合わせる本戦略は、供給制約が続く中で長期的な航空機需要の恩恵を安定的に取り込める点で優位性があると言える」(林氏)。

図表4 取引事例-航空機シニア・セキュアード(優先担保付)ローン
図表4 取引事例-航空機シニア・セキュアード(優先担保付)ローン

出所:ミューズニッチ社

外部オーナーのいない独立系中長期を見据えた組織カルチャー

今回紹介した3つのプライベート・アセット戦略のうち、先に取り上げた2つのプライベート・デット戦略は、投資先企業の質を重視しつつ、魅力的なリスク調整後リターンの獲得が期待できる。また、3つ目の航空機投資戦略は、元本保全と利回り確保の両立に特化している。これら3つのソリューションを現状ポートフォリオの構成に応じて組み合わせることで、投資家ポートフォリオにおけるより幅広い分散効果が見込める。

ミューズニッチ社は外部オーナーを持たない100%独立系・非公開運用会社であることから、金融業界でありがちな短期的思考を排した組織カルチャーを有している。同社とのパートナーシップは、中長期運用を見据えた安定したリターンの獲得に向けた近道と言えるだろう。

日本国内:現在、ミューズニッチ社の戦略及びサービスのすべてが日本で登録されているわけではありません。したがって、関係する日本政府及び規制当局により公布され、関連する時点で有効なすべての適用法令、規制及びガイドラインを遵守する結果となる場合を除き、日本国内または日本人のために直接的または間接的に、またはその利益のために、または再提供若しくは再販売することを目的として、ミューズニッチ社の戦略を提供または販売してはなりません。この目的のために、「日本人」とは、日本法に基づき組織された法人またはその他の事業体を含む、日本に居住するすべての者を意味します。
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