アリアンツ・グローバル・インベスターズのインフラ投資戦略 確かな実績と案件供給力を礎に規律ある分散で長期・安定リターンを追求
地政学リスクやマクロ経済の不確実性が高まるなか、機関投資家の間では従来の伝統的資産中心のポートフォリオを見直す動きが広がっている。そのなかで注目を集めているのが、インフレ耐性を備えた長期的なキャッシュフローと伝統資産との低相関性により、ポートフォリオの安定化に寄与するインフラ投資である。欧州最大級の運用会社であるアリアンツ・グローバル・インベスターズのインフラ部門CIO(チーフ・インベストメント・オフィサー)、マルタ・ペレス氏に、市場の最前線と同社の卓越した運用力について聞いた。
2040年までに106兆ドル脱グローバル化、エネルギー転換、デジタル化が投資需要を牽引

インフラ部門 CIO
(チーフ・インベストメント・オフィサー)
マルタ・ペレス氏
世界のインフラ市場は現在、2040年までに累計約106兆米ドル(約1京6,960兆円。1米ドル=160円で換算)の投資が見込まれる大きな転換点にある。交通網の再構築や次世代通信インフラの整備、クリーンエネルギーへの移行といった社会基盤の更新は、公的資金のみでは賄いきれず、民間資本の役割が一段と高まっている。
こうした環境下で、機関投資家はインフラがもたらす長期安定的なキャッシュフローと、他資産との低相関性に着目し、インフラへの投資配分の拡大を進めている。
資金需要を支える主な構造要因としては、「サプライチェーンの国内回帰とインフラ強靭化(脱グローバル化)」、「エネルギー転換」、「デジタルインフラの高度化」の3点が挙げられる。パンデミックや地政学リスクの高まりを契機に、各国はサプライチェーンの再構築と国内基盤の強化を進めるとともに、再生可能エネルギーや送電網、蓄電池、水素といった分野への投資を加速させている。また、AI(人工知能)やクラウドの普及を背景に、データセンターや光ファイバーなどデジタルインフラへの需要も急拡大している。
アリアンツ・グローバル・インベスターズインフラ部門CIOのマルタ・ペレス氏は、こうした変化について「一過性ではなく長期的な構造変化だ」と指摘。「投資機会は着実に拡大している一方で、何に投資しているのかを正確に理解する重要性がこれまで以上に高まっている。信頼できるパートナーと専門性が不可欠だ」と述べる。
投資環境の複雑化とパートナー選定の重要性
現在の投資環境は、地政学リスク、地域間のマクロ経済格差、技術革新、資本市場の変動などが交錯する極めて複雑な状況にある。特に、ボラティリティの上昇や規制・金融政策の不確実性は、投資判断を難しくしている。
インフラ投資は、規制当局や建設パートナー、地域社会など多くの関係者との調整を必要とし、工期遅延やコスト超過、政策変更といった固有のリスクを伴う。足元ではサプライチェーンの制約や地政学的緊張により、これらのリスクは一層顕在化している。
もっとも、こうした環境は同時に投資機会も生む。ファンダメンタルズに基づき、質の高い資産を選別し、信用力の高いカウンターパーティーとの長期契約を重視する投資アプローチを貫くことで、規律ある投資家は機会を捉えることが可能である。そのためには、地域・セクター・開発段階を横断した知見と実行力を持つパートナーの存在が不可欠である。複雑なリスクを的確に管理し、多様なシナリオに迅速に対応できる能力が、インフラ投資における差別化の源泉となる。
25年以上の実績と規律ある投資プロセス
アリアンツ・グローバル・インベスターズは、運用資産残高500億ユーロ超を誇る世界有数のインフラ運用会社であり、25年以上にわたるプライベートマーケット投資の実績を持つ。この間、パンデミックや地政学的衝突、高インフレなどの市場環境を経験してきたが、ポートフォリオの安定性を維持してきた。「常に意識しているのは、冷静さを保ち、分散を徹底することだ。短期的なノイズに左右されず、長期的な視点を維持することが重要である」とペレス氏は強調する。
同社の投資は、体系化された厳格なプロセスに基づいて行われる。案件創出から分析、承認、モニタリングまで一貫したガバナンス体制を構築し、すべての投資判断は長期的なリスク・リターンとの整合性を重視している。
特筆すべきは、リスク管理の位置づけである。リスク管理部門は案件評価の初期段階から関与し、投資委員会において拒否権を持つなど、意思決定の中核を担っている。投資実行後も専任のアセットマネジメントチームが継続的にモニタリングを行い、財務・オペレーション両面からの管理・支援を実施する。「市場が不安定な局面ほど、このプロセスの重要性が明確に表れる」と同氏は語る。
同社のインフラ投資は、デットからエクイティ、コアからバリューアッドまで幅広い領域をカバーし、直接投資、共同投資、セカンダリー投資など、多様な手法で柔軟なポートフォリオ構築が可能である。
これを支えているのが、世界最大級のアセットオーナーであるアリアンツグループの一員である強みだ。グローバルなネットワークと信用力により、優良案件への優先的アクセスが可能となり、投資条件交渉においても優位性を発揮する。
「十分な案件供給力があるからこそ、無理に投資する必要がない。基準を満たさない案件には明確に『ノー』と言える。この規律こそが、アセットオーナーの視点に立った長期投資の質を高めている」とペレス氏は力を込める。

2 Interbrandグローバルブランドランキングによる評価
3 再生可能エネルギー投資チーム、ダイレクトおよび間接インフラ投資チーム、アセットマネジメント担当者を含む
出所:Allianz Global Investors(2026年) 本戦略の運用成果は保証されるものではなく、損失が生じる可能性があります。 ランキング、格付け、受賞歴は将来のパフォーマンスを示唆するものではなく、恒常的なものではありません。
日本の機関投資家が注目したい3つのインフラ投資テーマ
インフラ市場では、具体的にどのような領域に魅力的な投資機会が潜んでいるのか。ペレス氏は日本の機関投資家に向けて、特に注目すべき3つのテーマを提示する。
第一は「エネルギー転換」だ。従来型の再生可能エネルギー投資の延長線上ではなく、グリーン・エレクトロン(再生可能電力の供給・運用)、グリーン・モレキュール(グリーン水素や e-fuels の製造プラットフォーム、バイオガス由来の次世代燃料ソリューション等)、グリーン産業(炭素回収・貯留(CCS)インフラおよび関連サービス、脱炭素型の熱供給・ヒートサービス等)といった、次世代のグリーン・インフラ領域へ投資対象を拡大している。
第二は、すでに稼働中の優良資産をターゲットとした「インフラ・セカンダリー投資」だ。最大のメリットは、エネルギー、通信、交通、環境、社会インフラといった分野へ幅広く分散投資を行うと共に、主として成熟したポートフォリオや優良資産を投資対象とすることで、早期の資金投下、Jカーブ効果の抑制、安定的なキャッシュフローの確保を図りつつ、魅力的なリスク調整後リターンの獲得を目指すことができる点だ。
第三は「ハイイールド・インフラ・デット」だ。インフラ分野の資金需要拡大を背景に、シニアから劣後債まで資本構造全体に投資し、特に資産担保や長期契約といったインフラ特有のディフェンシブ性を維持しつつ、ハイイールド領域への投資により相対的に高い利回りを狙うことができる。
「インフラ投資は今後数年間、複雑であると同時に魅力的な機会に満ちた分野となる。だからこそ、どのような市場サイクルも経験し、難局を乗り越えてきた信頼できるパートナーを選ぶことが何より重要だ。当社は、25年以上にわたり築いたインフラ領域における世界的な知見とベストプラクティスを共有し、長期的な成功を共に歩むパートナーでありたいと願っている」(ペレス氏)
不確実性の高い市場において、本質的価値を見極め、規律ある分散投資を実践する同社の姿勢は、ポートフォリオの安定化を目指す投資家にとって有力な選択肢となるだろう。
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