金融市場を取り巻く環境が不透明感を増すなか、歴史的に低いデフォルト率と高い信用力を誇る米国課税地方債が注目を集めている。半世紀にわたり米国地方債運用に取り組み、グローバルな調査体制で優れた超過収益を積み上げてきた運用会社MFSの債券ポートフォリオ・マネジャーと債券運用部門インスティテューショナル・ポートフォリオ・マネジャーの3名に、同資産クラスの投資妙味とMFSの運用力を聞いた。

債券ポートフォリオ・マネジャー ジェイソン・コスティ氏
債券ポートフォリオ・
マネジャー
ジェイソン・コスティ

債券ポートフォリオ・マネジャー メーガン・ポプロウスキー氏
債券ポートフォリオ・
マネジャー
メーガン・ポプロウスキー

債券運用部門インスティテューショナル・ポートフォリオ・マネジャー マイケル・アダムス氏
債券運用部門
インスティテューショナル・
ポートフォリオ・マネジャー
マイケル・アダムス

不確実性の時代に際立つ米国課税地方債の底堅さ

なぜ今、米国課税地方債に注目すべきなのか。

ジェイソン 米国課税地方債の魅力が最も際立つのは、不確実性が高い局面、リスク資産がスプレッド拡大の影響を受けやすい局面、経済成長が鈍化し、社債のデフォルトリスク上昇に直面する場面などである。これは、まさに足元の市場の懸念点と合致する。そこに米国の堅調なファンダメンタルズ、限定的な新規発行からタイト化する需給などが追い風となっており、米国課税地方債投資の絶好の機会が訪れていると言える。

メーガン 米国課税地方債と似たリターン水準を持つ債券クラスには米国の投資適格(IG)社債がある。BBB格の銘柄が多く、景気循環に敏感なシクリカルセクターが中心となる米IG社債と比較すると、米国課税地方債は経済変動や信用環境の変化に対して高い頑健性を発揮する。より高い信用力を持つセクターが中心で、税収や公共事業・医療などの必要不可欠なサービスの提供を通じて収益を生み出す発行体が大半を占めるからこその安定感があると言える。歴史的に見ても、米国課税地方債はIG社債と比較して低いデフォルト率およびクレジットのボラティリティを維持している。

それでいて、同等の格付けで比較した場合、米IG社債と同程度かそれ以上の利回りがあるのが嬉しい点だ。米IG社債と比較すると、米国課税地方債のほうが米国債との相関が高く、その高いクオリティを窺わせる。

マイケル とりわけ日本の機関投資家にとっては、米国のインフラを支える必需サービスという、既存ポートフォリオに見当たらないであろうリターン源泉を組み入れる手段だ。分散拡大に寄与する投資先を探している投資家には、ぜひ注目いただきたい。

資産クラスを検討する際には、米国課税地方債の多くが発行規模の小ささを理由に主要なインデックスに組み入れられていないことを理解することが重要だ。インデックス外銘柄に投資先を拡大することで、市場で見過ごされがちな領域に投資する可能性が生まれ、その先には高い信用力と相対的に魅力的な利回り水準を並立する稀有な投資機会が待っている。ぜひ柔軟な投資判断に踏み切ってほしい。なお、売買スプレッドはインデックス外銘柄の取引では通常より高くなるため、長期保有を前提とすることも忘れないでほしい。

クレジット重視アプローチで年率1%超のアルファ獲得

MFSでは、どのように米国課税地方債を運用しているか。

ジェイソン 米国地方債の巨大な市場規模、そして発行体が非常に多岐にわたることが大きな非効率性を生んでいる。そのため、「豊富な経験に基づく熟練した調査とポートフォリオ構築を通じて、その非効率性をアルファ(超過収益)に繋げられる」というのが、米国課税地方債に対するMFSの運用哲学だ。

具体的には、マクロ視点に基づくトップダウンのリスク配分と、個別銘柄の分析を起点とするボトムアップのバリュー重視の銘柄選択を組み合わせ、景気サイクルのどの局面にいようと安定してアルファを獲得することを目指す。

過去のクレジットスプレッド拡大期において社債よりも拡大幅が小さい傾向に
■過去のクレジットスプレッド拡大期において社債よりも拡大幅が小さい傾向に
出所:Bloomberg 2011年1月1日から2025年12月31日までの日次データ。網掛けはスプレッドが拡大した期間を示す。スプレッド拡大については、米国投資適格債のスプレッドが48bps以上拡大した期間を対象。
OAS = Option adjusted spread。米国課税地方債=Bloomberg Taxable Municipal Bond Index。米国投資適格債=Bloomberg US Agg Corporates Index。

メーガン MFSでは、アルファ創出の源泉として、金利ファクターよりもクレジットファクターを重視して投資判断を行うほうが高いインフォメーション・レシオをもたらすと考え、セクター配分、格付け配分、銘柄選択といった各判断でクレジット分析に心血を注いでいる。

なおIGの格付けを持つ米国課税地方債の中でより低めの格付けを持つ銘柄を中心に投資しつつ、IG未満や無格付けの米国課税地方債の組み入れは抑えている。このブレンドが、最も効果的に市場の非効率性をアルファに繋げられると考えているためだ。デュレーションおよびイールドカーブは、あくまで二次的なアルファ源泉と位置付けている。

マイケル 何より、こうした運用スタンスの結果が確固たる実績として提示できていることが、我々の自信を深めている。MFSの米国課税地方債運用のアルファは、過去5年間で年率1%を超える結果となった(2025年12月末時点)。

加えてMFSの運用成果は、市場の上昇・下落のいずれの局面でもコンスタントにプラスの成績を収めている。先述の通り、米国課税地方債のメリットは攻守に優れることであり、当社のアクティブ運用が米国課税地方債の持つその魅力を最大限に引き出していることを示している。

MFSは1970年代から米国地方債に投資してきたと聞いた。

ジェイソン MFSは米国地方債運用における最も経験豊富な運用会社の1つだ。他社では個別に活動することが多いポートフォリオ・マネジャー、アナリスト、トレーダーが一つのチームとして、発行体のファンダメンタルズの健全性と魅力的な価値を精査しながら運用を行っている。

メーガン 運用チームの強さも重要だが、MFSではそれを支える組織的な専門性も強みとなる。ボトムアップ、トップダウン双方の投資判断において、グローバル運用会社であるMFS のグローバル・インベストメント・プラットフォーム上で形成される“集合知”にアクセスできるコラボレーション能力は、重要な差別化要素だ。

ファンダメンタルズは安定 魅力的な利回りが続く

運用環境の見通しはどうか。

ジェイソン まず、米国地方債市場のファンダメンタルズは総じて良好であり、足元の米国における底堅い経済成長、それに伴う安定した歳入、さらに財政規律の改善に支えられている。信用面も健全であり、景気が減速した場合でもその影響を吸収できるだけの耐性を備えているとみている。こうした土台の安定感に加えて、足元では名目利回りもなお長期平均を上回る魅力的な水準にある点も、米国課税地方債の投資妙味を高めている。

メーガン 他方で、地政学リスクの高まり、関税や移民政策を含む米国の政策動向などがもたらす市場の不透明感は不安要素である。しかし、そうしたリスクがあるからこそ、景気循環の影響を受けやすい債券セクターと比べて、相対的に優位な投資対象である米国課税地方債の投資妙味が際立つと考えている。しかも現在は、堅調なファンダメンタルズと高い信用力によりディフェンシブ性が強化されている状況だ。MFSでは、多様な投資環境を継続的に分析しながら有望な投資機会を発掘し、着実なアルファ創出につなげていく方針である。


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