年2回の【先輩に聞く】シリーズ第7回の今回は、ちばぎんアセットマネジメント取締役会長の石井義和(いしい・よしかず)さんを尋ねました。石井さんはリース会社で航空機リースなど先進的なファイナンスを手掛けた後、千葉銀行に転職。同行企業年金基金の常務理事を経て、系列の資産運用会社のトップに転身しました。

石井 義和さん
ちばぎんアセットマネジメント 取締役会長
(千葉銀行企業年金基金 元常務理事兼運用執行理事)

ちばぎんアセットマネジメント石井義和氏
オフィスは千葉銀行錦糸町支店の上階。目の前の交差点から東京スカイツリーがくっきり望める=東京都墨田区江東橋2丁目で

衝撃的だった石井さんの記事

お会いするのは今回が初めてですが私自身は、石井さんが登場された専門誌の記事で衝撃を受けた思い出があります。

石井 そうだったのですか。

新型コロナウイルスの流行が始まった2020年の春頃のことです。私は企業年金基金の常務理事に就いて数カ月が経ち、ポートフォリオの見直しを進めていました。信託銀行や運用会社から「この低金利下ではオルタナティブ投資を積極的に進めるべき」と、相当な売り込みがありました。私も同様の方向感を持っていました。そんな時期に2誌が石井さんの運用戦略を取り上げていたのです。その時のタイトルが1誌は「基礎的条件で大局判断 人気の『低流動』は見合わせ」。もう1誌が「流行り廃り(はやりすたり)に惑わされず 軸のぶれない運用を貫く」とありました。

オルタナ投資、在任中は「ゼロ」

正直、脳天に「がーん」と撃ち込まれた思いでした。読み進めると、2019年4月の政策アセットミックス変更時にそれぞれ10か条からなる「投資運用の心得」と、その具体的指針である「投資運用の理念」を策定された、と。加えてオルタナの投資枠を10%設定したものの、「現時点では割高」と判断して組み入れをゼロとしたと答えておられました。プライベートアセットなどの商品選びに意識が集中していた自分としては、冷や水を浴びせられたような気がしました。まあ、結局はオルタナ投資を進めたのですが。

石井 オルタナ投資を頭から否定するつもりはありません。ただ当時は流動性や換金性が乏しいにもかかわらず、投資するのに行列待ちの商品も複数ありました。年金マネーが入り始めたことで需給バランスが崩れ、プライベートデットなどのスプレッドが縮んだり、コベナンツが甘くなったりする懸念があったのです。よく「プライベートアセットは、価格変動リスクが抑えられる。ボラティリティが小さくリスクも低い」と言われますが、これはリアルタイムで時価評価されないことが主因。むしろ資産の「妥当な価格の発見機能」の喪失となると感じていました。

逆にREIT(不動産投資信託)や金などは投資対象になりうる。そこで、オルタナ枠10%を設けていました。しかし、コロナ禍で外出が手控えられると予想し、当時は投資を見送りました。

またヘッジファンドも、粉飾決算による破綻が相次いだことがありました。オフィスの実地確認やヒアリング面談では実態を見抜けないと判断し、投資しませんでした。

元は「オルタナティブ」組成の専門家

もう一つ驚いたのは、実は石井さんはリース会社の出身で、航空機や船舶などのアセットファイナンスやLBO(Leveraged Buyout)、プロジェクトファイナンスなど、今でいう「オルタナ投資」への取り組みを早くから手掛けていたことです。

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