2024年4月、アリアンツ・グローバル・インベスターズ・ジャパンの代表取締役社長に、城山太郎氏が就任した。同氏はアリアンツ・グローバル・インベスターズのアジア太平洋地域ヘッドであるデズモンド・ング氏とともに、J-MONEYのインタビューに応じた。

アリアンツ・グローバル・インベスターズ
ヘッド・オブ・アジア・パシフィック
デズモンド・ング氏(写真右)
アリアンツ・グローバル・インベスターズ・ジャパン
代表取締役社長
城山 太郎氏(写真左)

アジアの投資家が注目する4つのトレンド

アジアの機関投資家の動向に関する見解は。

ング 4つのトレンドに注目している。1つ目は、サステナブル投資への関心の高まりだ。財務的なリターンだけでなく、長期視点でESG(環境・社会・企業統治)に配慮した社会的インパクトが求められている。

2つ目は、プライベート市場への注目だ。世界的なインフレや高水準の金利、地政学的リスクへの懸念から資産分散のニーズが高まっている。特にプライベート・クレジットは株式など他資産に比べリターンの安定感があるため、機関投資家には魅力的な分散候補となっている。

3つ目は、金利動向に起因するインカム思考だ。高い金利水準への利下げが期待される中、インカム収入を好む傾向は根強い。安定した分配率を持つ債券やマルチアセット商品が引き続き投資家の関心を惹き付けるだろう。

4つ目は、AIなどのテクノロジー需要の急速な顕在化であり今後とも世界経済に多大なインパクトをもたらすと思われる。

アジア、ひいては日本市場の今後の展望は。

ング 当社はアクティブ運用会社として、アジアのお客様の資金を30年以上運用しており、アジアを戦略的地域と位置づけている。アジアの力強い経済・市場の発展とともに今後もフットプリントを拡大していくつもりだ。

日本市場については、政府の「資産運用立国」改革により、現在、保守的な現金主義から長期の資産運用主義への移行期にある。市場のセンチメントが改善し、経済再生に向けた勢いが見られることも、日本の重要性を高めている。こうした環境は、当社のアクティブな運用力が投資家の方々にお役立てできる機会が増えると見ている。

日本は当社にとって重要な国である。沢山のお客様のご支援のもと、当社は今年で日本拠点設立20周年の節目を迎える。新たに日本の代表に就任した城山は、25年にわたる運用業界での経験があり、今後ともお客様との関係をより強固にする上での適任者であると確信している。

プロダクト提供よりも課題解決に注力

投資家の環境が複雑化する中、どのようなサービスを考えているか。

城山 金融政策が正常化に向かい、日本経済は大きな転換期を迎えている。お客様の投資行動も変化があるだろう。そうした声によく耳を傾け、お客様に適した丁寧な提案をしていきたい。

日本の機関投資家は、安定したリターンを求める傾向が強くなる一方で、金融市場は困難な環境が続いていると考える。そこで、一例として金利リスクが限定的で、極めて安定した運用実績を残すトレード・ファイナンス戦略を活発に提案するなどしている。

また、当社の「リスクラボ」チ-ムも機関投資家の運用判断に貢献できるだろう。リスクラボは定量的アプローチでお客様の課題をサポートする他、サステナブル投資手法の支援など幅広いアドバイスが提供可能だ。例えば、地域金融機関には預金のデュレーションをより精緻に測定するコア預金モデルの共同研究に携わるなど、その守備範囲は広範なものになっている。

当社は元々、長期安定運用を志向する保険会社の資産運用部門として設立され、グローバルでは、お預かり資産の3分の2は機関投資家から受託している。また、アクティブ運用専業として、すべての経営資源をアクティブ運用に投入している。アクティブ運用というとインデックスに対して超過収益を提供する面に焦点があてられがちだが、長期安定運用の実現にふさわしい投資対象を発掘し、市場環境に柔軟に対応可能なポートフォリオの構築も重要な使命であると考える。当社の保険会社仕込みの多様なアクティブ運用は、日本の機関投資家の資産運用ニーズに応えるに値すると信じている。

読者へのメッセージを。

城山 当社の最優先事項はお客様の課題解決であり、お客様それぞれが抱える様々な課題に対してともに投資計画を考えることにある。そのためにも、まずは悩みを聞かせてほしい。