【前編】日本株特化35年。スパークス・グループ 阿部 修平社長に聞く 雌伏30年、日本株復活の「必然」
独立系資産運用会社のスパークス・グループ株式会社は今年2024年、創業35周年を迎えた。1989年以来、日本株の運用に特化してきた。創業者でCEOの阿部修平社長は個別企業の調査・分析を徹底して、優秀な企業を発掘。市場平均を大きく上回るパフォーマンスを上げ続けている。このところ阿部社長は「日本企業は『失われた30年』を取り返し、『新たな夜明け』とも言える歴史的転換点を迎えている」と強調している。そこで今回、スパークス・グループの独自の資料などを基に、阿部社長の分析や展望をじっくり伺った。同社の軌跡を含めて3回にわたってお伝えする。(J-MONEY論説委員 阿部圭介)
2024年2月22日、日経平均株価は39,098円の終値をつけた。1989年12月29日につけた38,915円を上回り、34年ぶりに史上最高値を更新した。その後、7月11日には終値42,224円に達した。以降は米国の株式市場動向や日銀の利上げなどを契機に乱高下したものの、38,000円台近傍の展開となっている。
バブル後に米国株は16倍、日本は1倍
物価全般が値上がりする一方で、実質賃金はマイナス。生活者としては「景気が良くなった」という実感が得られない中で、株価だけが「バブル超え」は驚きだし、納得がいかない部分があります。
阿部 確かに短期間の値動きだけを見ていると、そう受け取るのは当然かもしれません。ただ、日本経済と企業のファンダメンタルズがこの間に大きく改善していたことを踏まえると、株式市場の動きは驚くにはあたりません。むしろ今ここで認識すべきなのは、デフレの終焉とともに日本経済と企業の実態が通常のインフレに回帰したこと。そして、日本の株式市場が新たな長期上昇トレンドのスタートラインにようやく立てた、ということなのです。
日本が「スタートライン」に立ったということを端的にお見せしましょう。【図表1】はバブル崩壊後の主要各国の株価指数の推移を示したものです。ご覧いただくように、この間に米国は16倍、ドイツも10倍、中国が6倍に対し、今回4万円まで急騰した日本も、このスパンで見るとようやく「1倍」。つまり元に戻っただけとも言えるわけです。
利益率を向上させてきた日本企業
スタートラインに立てただけでは、その先に光が見えるかどうか分かりません。
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