M&G 低いレバレッジゆえの高いコスト抵抗力。欧州コア不動産で資産分散を効果的に
世界的なインフレを受けて、実物資産への関心が高まっている。シクリカルな影響を受けやすい不動産は、個別に投資戦略を見直す動きもある。150年超の歴史を持つ英国の不動産運用会社であるM&Gは、欧州の不動産市場を対象に特徴ある運用戦略を提供している。M&Gインベストメンツ ヘッド・オブ・ファンドマネジメント 大陸欧州地域ファンドマネージャーのデヴィッド・ジャクソン氏に、市場の展望や投資意義を聞いた。
低い空室率や限定的な不動産供給量が市場を下支え
欧州不動産の投資魅力はどこにありますか。
他のエリアと比べ、欧州の不動産市場の利回りは国債利回りとの間に健全なスプレッドが存在し、魅力的なリスクプレミアムを引き続き提供し続けると私たちは考えています。
金利はマイナス圏を脱したところですが、ユーロのコアインフレ率は米国や英国より低い状況が続いています。そのため、ECB(欧州中央銀行)は、比較的低い金利水準をこれからも堅持すると予想しています。
また、現在のインフレ環境では、物価水準の上昇に伴い不動産価格も上昇するため、ある程度のインフレヘッジを効かせられるでしょう。欧州では消費者物価指数に連動して毎年、家賃を見直すことが一般的で、賃料収入の保護に働くのも投資家にとって好ましい点です。欧州は相対的に投資妙味のある市場だと言えるでしょう。
金利上昇の影響について聞かせてください。
物件への評価で二極化が進むと考えられます。例えば、空室率の高い低品質の不動産は賃料上昇の流れに乗れず資産価値が再評価されるでしょう。一方で、生活に不可欠な機能を持つ住宅やスーパーマーケットは回復力を高める機会になるかもしれません。長期かつインフレ連動型の賃料契約を行っている不動産ならば、金利上昇は追い風です。
予想利回りの拡大は、新たな物件を獲得するチャンスになるかもしれません。というのも、これまでコア型の不動産投資は、個別物件の激しい争奪戦にありましたが、高い稼働率やエネルギー性能のために価格を見直す物件を厳選して取得できるからです。
市場にどのような展望を持っていますか。
ファンダメンタルズ面では低い空室率や限定的な不動産供給量といったポジティブな数字が出ているほか、実物資産に期待を寄せる投資家による多額の資金注入も相まって、引き続き市場を下支えしていくと思います。
不動産価格の趨勢は、今後の景気動向次第で見方は変わるでしょう。ただ、セクターによる傾向は色濃く、テレワークといった構造的な需要を反映した住宅セクターは価格が下支えされる可能性が高い一方、小売などの商業施設はすでに大幅な調整を経てむしろ価格は安定している傾向です。
注視している動きがあれば教えてください。
1つはESG(環境・社会・ガバナンス)です。投資家のリスク回避志向の高まりで、コア不動産とノンコア不動産との価格差が拡大する一方、ESG対応が群を抜いて優れるオフィスビルではプレミアムが発生し、価格が上昇する可能性があります。入居者のESGに対する関心は高まっており、不動産オーナーにとって保有物件の脱炭素化は急務の課題です。欧州では、環境によりやさしい安定したエネルギーへの移行が、不動産市場の進展を後押しすることになりそうです。
もう1つは建設コストです。インフレによるコスト増は新規開発を滞らせ、高品質の不動産の供給が不足する懸念があります。既存物件の賃料が上昇する可能性はあるでしょう。
不動産市場がシクリカルな転換期を迎える中、私たちは長期的な構造トレンドに引き続き注目することが最重要だと考えています。建設コストが上がってもエネルギー規制の順守は避けられません。ESG基準や設備投資の最適な活用を慎重に検討したいと考えています。
成熟した欧州のオフィスや小売、物流、住宅に投資
「欧州コア不動産戦略」の特徴を紹介してください。
大陸欧州を対象としたオープンエンドの不動産投資戦略で、2022年6月30日時点での運用総資産額は55億ユーロ(約7800億円)です。ポートフォリオの構成も、オープンエンドのコア型戦略としては最大規模かつ最も分散を施しており、高品質でディフェンシブな戦略と言えるでしょう。成熟した欧州のオフィスや小売、物流、住宅などの各セクターに投資することで、低リスクかつ安定したリターンの獲得を目指しています。
投資手法は、インカムに重点を置きながら、長期的に安定したトータルリターンの実現を目指すものです。戦略的な資産配分や銘柄選択、アクティブな運用を通じて、付加価値の向上を図ります。
当戦略は分散投資によるリスク調整後リターンの向上を通じて、持続的な運用成果を実現してきた実績があります。2021年7月1日から2022年6月30日までの期間で見れば、当戦略のトータルリターンは8.2%で、インカムゲインは2.3%、キャピタルゲインは5.8%です。
他の投資戦略と比べた特長を聞かせてください。
アセットオーナーや運用者としてのみならず、環境や社会にプラスの影響を与えることの重要性を十分に認識している点です。サステナビリティへの取り組みに注力しており、2021年にGRESB(国際不動産サステナビリティベンチマーク)において過去最高の5つ星を獲得しています。2050年までにネットゼロを達成するコミットメントのもと、2023年末には保有資産の100%でグリーンビルディング認証を取得し、2025年には英国のBREEAM(ブリーム)評価で「Very Good」以上の認証を資産の75%で取得することを目標に据えています。
当ファンドのレバレッジの低さは、負債コストが上昇した際の高い抵抗力となるため、市場の混乱期には、高リスクのバリューアッド戦略よりもコア型で低リスクのファンドが、より優れたパフォーマンスを実現できると考えます。また、セクター配分については、賃貸期間が短く、市場の回復に伴う賃料の伸びを取り込む視点から住宅セクターのウエイトを増やし、インフレリスクの軽減を図っています。
M&Gの不動産投資チームの特徴を教えてください。
当戦略は、15年以上、共に仕事をしてきた専門チームによって管理されています。現場主義による不動産取得の経験値が、投資機会の発掘とリターンの最大化をもたらしています。私たちは欧州に8つの現地オフィスを構えていますが、責任投資チームなど、幅広い事業チームからサポートを受けている点も強みです。
日本の投資家にメッセージをお願いします。
欧州のコア不動産戦略を日本国内・米国の戦略に加えることで、高い分散効果が得られ、リスク調整後リターンを向上させられるでしょう。透明性が高く、流動的な欧州の不動産市場へのアクセスは、投資家にとって魅力と思われます。私たちの投資戦略を通じて、景気サイクルの局面に応じキャピタルゲインを得ることもでき、不動産物件という原資産のバリューアップに取り組むこともできます。
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当記事は、現在の市場動向におけるM&Gの見解を述べたものです。今後、事前に通知することなく変更する可能性があり、実証しかねる推測を含む場合があります。過去の実績は将来のパフォーマンスを保証するものではありません。当記事の配布は売買の推奨や勧誘を行うものではありません。M&Gが信頼性が高いと判断する情報源から得た情報で作成していますが、その正確性について保証するものではなく、M&Gはその責任を負いません。M&G Investmentsは英国で設立されたM&Gplcの直接子会社です。M&G plc及びその関係会社は、アメリカ合衆国を主たる事業地とするPrudential Financial, Inc.とはいかなる関係もありません。当資料はM&G Investment Management Limitedが発行します。M&G Investment Management Limitedはイングランド及びウェールズにおいて番号936683、本社所在地10 Fenchurch Avenue, London EC3M 5AGにて登録されています。 M&G Investment Management Limitedは英国Financial Conduct Authority(金融市場監督庁) により認可され規制を受けます。
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