NNインベストメント・パートナーズはこのほど、同社が本拠を置くオランダのマーストリヒト大学の研究機関「欧州企業エンゲージメント研究センター(ECCE)」との共同研究の成果として、株式の投資判断におけるESG(環境・社会・ガバナンス)ファクターの重要性に関する報告書を発表した。

同社とECCEは2010年1月~2014年9月のデータを用いて、さまざまなESG基準にもとづいて構築されたグローバル株式ポートフォリオのパフォーマンスに関する初の包括的な検証調査を実施。既存のESG研究より調査範囲を広げ、3000社以上の先進国企業を対象にして、ESGスコアの水準だけでなく、ESGスコアの変化(モメンタム)も考慮してポートフォリオのパフォーマンスを検証した。

その結果、導き出された結論が次の4点である。

①大半のケースでは、投資判断の評価軸となるESGスコア水準が高い銘柄で構成されるポートフォリオのパフォーマンスは、ESGスコア水準が低い銘柄で構成されるポートフォリオのパフォーマンスを下回り、ESGスコアの水準に関する情報は既に企業の株価に織り込まれている場合が多いことが確認された。

②ESGスコアのモメンタムは、銘柄選択基準として有効性が高いことが示され、パフォーマンスの改善は、主にガバナンス指標を中心に見られた。

③ESGスコアの水準と変化の両方について検討することが、将来のリターンが高い銘柄と低い銘柄を区別するのに有効である。

④ESG上の問題を抱える企業を除外した場合、ポートフォリオのリスク調整後リターンの改善につながる。

以上の結果を踏まえ、同報告書では「ESGの特定の情報は、ポートフォリオのパフォーマンス向上を図る投資家にとって有益な可能性がある。ESGスコアの水準と変化を合わせて活用することが、投資のパフォーマンス改善につながる可能性がある」との見解を示した。

なお、ECCEとの共同研究による報告書のあらましは、NNインベストメント・パートナーズのホームページで見ることができる。