ESG投資の富国生命投資顧問 円株アクティブ全体で上位の運用実績。チームによる直接取材で独自評価を確立
新型コロナウイルスのパンデミックで社会や経済の不透明感が強まる中、サステナビリティに焦点を当てた運用への関心が高まっている。パフォーマンスを犠牲にしない運用戦略を重視する富国生命投資顧問のESG評価手法や実績について紹介する。
ESG対応が企業価値向上やパフォーマンスに直結かを重視
2003年、富国生命保険の創立80周年を記念し、富国生命投資顧問は現在のESG(環境・社会・ガバナンス)投資戦略の前身であるSRI(社会的責任投資)ファンドの運用を開始した。同社の株式運用部 次長の横田洋一氏は、「当時はESGという概念がない一方、エコファンドのように、SRIファンドにはESGの内の1つの観点に絞った運用手法が数多く含まれていたが、当社は、運用当初から現在で言うESGインテグレーションを戦略の柱としてきた」と語る。
同社が掲げるESG投資の哲学は、「最も着実な成長を期待できる企業は、社会的責任を果たすことにより、持続可能な経済の成長を推進する企業であると考え、社会的責任を果たしかつ市場で割安に評価されている企業に投資する」である。ESG評価を行う際、公開情報や第三者機関のデータを自社の財務情報に統合する手法を採る運用会社も見受けられるが、同社は個別の直接取材に力点を置き独自のESG調査を行ってきた。ストラテジスト兼チーフアナリストの山﨑総一氏は、「世間ではESG評価が高くても、直接取材で実態が伴っていないと判断した企業が、のちに業績不振となったケースもある」と明かす。
この直接取材は、評価者による見解の偏りを低減するため2名以上で実施し、客観性を担保する。「ESG経営を推進するためのPDCAサイクルを回しているか。それが実績につながった、あるいは今後実績に結び付きそうか、一連の取り組みは企業価値向上やパフォーマンスに直結するかを重視して取材を進めていく」と話すのは、ESGアナリストの葎嶋真理氏だ。葎嶋氏は、同社のSRIファンド組成時の立役者の一人。欧州系運用会社でSRIリサーチアナリストとして従事したのち独立した。コンサルティング契約の形で同社のSRIファンドを共に育てあげ、2018年から同社のESGチームの一員となった。
過去17年の評価データをポートフォリオ構築に役立てる
同社の『国内株式アクティブ運用(ESG投資型)』戦略は、年金基金が運用する円株アクティブ運用全体のリスク対比リターンで上位に位置する(図表1)。2019年11月から2020年10月末までの過去1年間の収益率は、円株アクティブ運用156ファンド中42.76パーセンタイルと平均を上回る。過去3年間(同146ファンド中)では27.59パーセンタイル、過去5年間(同139ファンド中)は31.16パーセンタイルと、いずれも上位3分の1に入る実績だ。
また、インフォメーションレシオは過去3年間で16.55パーセンタイル、過去5年間で21.74パーセンタイルと、リスクを抑えつつリターンを確保できる戦略と言える。「当社のESG投資戦略はESG市場だけでなく、円株アクティブ運用ファンド全体の中で上位の実績を上げてきたと自負している」(チーフファンドマネージャーの岡本大典氏)
ESG投資戦略の付加価値の源泉は、独自のESG評価と財務面から評価した株式の期待収益率の2つから成る。運用プロセスは、投資対象である全上場企業のうち、株式の流動性の高さなどの観点から約400銘柄に絞りこむ。そしてESGの取り組み度合いをAからDの4段階で評価し、上位2段階の銘柄までの約300銘柄の「ESGバイリスト」を投資候補とする。
このリストに期待収益率を組み合わせ、60~80銘柄のポートフォリオを構築する流れだ。ESG評価が高く、財務評価が割安な銘柄の組み合わせにより、パフォーマンス向上に貢献する(図表2)。
このポートフォリオを最適化するため、同社では前述した2つの評価データを使ってMSCI社のバーラモデルでファクター分析を行い、モデルポートフォリオを作成する。これを基に毎月行われるESGミーティングで実際のポートフォリオに反映していく。アナリスト兼アシスタント・ファンドマネージャーの佐藤栄二氏は、「過去17年にわたりデータベースに蓄積してきた2つの評価とパフォーマンスがリンクしているか、運用チームは日々計算している。もしリターンが期待収益率を下回れば、リバランスやESG評価の再調査を実施する」と説明する。
加えて、同社のESG類型区分は標準型、ガバナンス重視型、社会重視型、環境重視型の4つある。例えば、環境負荷の小さいITセクターはE項目のウエイトを下げてS項目のウエイトを上げるなど、業態によって配分を変えることで評価に偏りが出ないよう調整を行うという。
玉石混交のESG市場、徹底度合いが成果を左右する
これまでESG市場は、どちらかというと気候変動問題など『環境』への関心が高かった。また、目先のパフォーマンスにはあまり影響しないため、本格的にESG対応に取り組む企業は少なかった。「しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、外出自粛要請による企業活動の制限や、サプライチェーン寸断による生産活動の低下で日用品が品薄になるなど、誰もがサステナビリティにまつわる様々な問題に直面することになり、『社会』や『ガバナンス』も含めたESG市場が一気に注目されるようになった。ESG投資を検討する機関投資家は増えており、最近は問い合わせが増えているようだ」(山﨑氏)
現在、ESGを一部だけ取り入れたファンドも「ESG投資ファンド」を名乗るなど、ESG市場は玉石混交の状態だ。「機関投資家からESG投資に求められる水準は年々高まっている中、当社は毎年評価項目の見直しを図るなど柔軟に対応している。独自のESG評価を一層徹底することで、今後もパフォーマンスに反映していきたい」(横田氏)
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