スマートベータやオルタナティブ資産の開発強化

投資顧問ビジネスでは今後どのような事業戦略を考えていますか。

渡邊 国内の年金基金の多くは、少子高齢化の進展などによってキャッシュイン(掛け金)とキャッシュアウト(給付)のバランスが崩れ、財源の確保が苦しくなっています。それに伴って運用会社に求めるニーズも厳しさを増しているものの、これまで以上に投資家が望む運用商品を提供することができれば評価は得られます。

当社では運用商品のパフォーマンス向上はもとより、パッシブ運用のニーズの高まりを踏まえ、時価総額加重インデックスに代わる「スマートベータ」と呼ばれるインデックスをはじめ、従来のパッシブ運用にプラスアルファした商品の開発を進めています。

その1つが米リサーチ・アフィリエイツ社の「ファンダメンタル・インデックスR」の手法を用いた商品です。割高な銘柄を購入するケースもある時価総額加重インデックスの問題点を解消するプロダクトとして多くの機関投資家から評価されています。

ほかにも伝統的資産に代わるオルタナティブ資産へのニーズも依然として強く、ヘッジファンドやバンクローン、ハイ・イールド債券などの開発も引き続き注力していきます。

「特色あるアジアの運用会社」を目指して力を入れていることは。

渡邊 運用会社として常に優秀なポートフォリオマネージャーの確保は欠かせません。当社では社外から見込みのあるポートフォリオマネージャーを採用するだけでなく、社内人材の育成にも積極的に努めています。

人材育成の試みとして2010年よりポートフォリオマネージャーの社内公募を始めました。社内にいる運用希望者は、当制度を活用することでポートフォリオマネージャーとして活躍する機会を得ることができます。また、運用部では若手社員の運用能力向上にも注力しています。各々の運用アイデアをバーチャルポートフォリオに反映し、運用パフォーマンス・プロセスなどの厳正な審査を経て評価が高い場合には、実際にパイロットファンド(自己資金による研究開発を目的としたファンド)として運用します。さらにパイロットファンドでも実績を残すことができた場合には、商品化を検討します。

もう1つは個人投資家向けの投資教育です。1990年の投資信託残高を見ると、日本が約46兆円で米国が約1.1兆ドルでしたが、2013年末には日本が約82兆円と1.8倍の拡大にとどまった一方で、米国は約14.3兆ドルと13倍にまで膨らんでいます。

なぜ約20年の間にこれほどの差が広がったのか。マーケット環境の影響もありますが、大きな理由は投資への関心の高さです。

米国では約14.3兆ドルの投資信託残高のうち、およそ4割が401k(確定拠出年金)とIRA(個人型確定拠出年金)に流れ込み、企業の成長に欠かせないリスクマネーの供給へとつながっています。それが投資収益となり、さらなる投資活動を促すという好循環を生み出しています。

対する日本では2001年に401kが導入されたものの、運用資産残高はわずか7兆円です。しかも、年金目的の運用であるにもかかわらず、元本確保型の商品が6割を占めています。リスクマネーの供給量でも米国とこれほどの開きがあります。

折りしも政府の有識者会議の提言によってGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)などの公的年金では株式の投資比率の引き上げなどが検討され、機関投資家からのリスクマネー供給の増加が期待されています。

個人投資家に関しても投資知識の普及を図り、株式などのリスク資産への投資が広がっていけば、機関投資家からのリスクマネーの供給とあいまってさらなる経済活性化をもたらす好循環がつくれるのではないでしょうか。

新社長として今後の抱負を聞かせてください。

渡邊 運用会社として、投資家の皆様が望むパフォーマンスを提供することが何よりも重要です。投資家のニーズに合わせてアクティブ運用であれば超過収益の獲得を目指し、パッシブ運用であればインデックスへの追随を目指す――。こうした姿勢が投資家から真に信頼される資産運用会社へとつながっていきます。

これからも世界中の投資家から評価される資産運用会社のリーディングカンパニーとしてグローバルベースのリサーチと運用能力のさらなる強化を図っていきたい。そして多様化している投資家のニーズに応えられるよう、幅広い運用戦略を有する当社の強みを活かしたソリューション提供力も高めていきたいと考えています。

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