DWSのETF(上場投資信託)ブランドである「Xtrackers」のセールス部門 グローバル責任者であるサイモン・クライン氏が来日し、J-MONEYのインタビューに応じた。グローバルなETF市場のトレンドや、次に注目すべきETFの投資機会などについて話を伺った。

DWS
Xtrackers セールス部門 グローバル責任者
サイモン・クライン

欧州が浮上し始めた──2025年のETF市場を読む

2025年にETF市場で注目したトレンドは何か。

クライン まず挙げるべきは、「米国一強」への疑念が高まり、投資マネーが欧州へと向かい始めたことだ。

ETF市場では長らく米国株が最大のアセットクラスとして圧倒的な存在感を持ってきた。しかし2025年に入り、米国投資家の新規株式フローの約5%が、STOXX Europe 600 や MSCI Europe、DAX といった欧州株指数へ向かう動きが確認された。

当社ETFに投資するグローバル投資家の動向を見ると、このシフトはさらに鮮明だ。2025年、当社株式ETFへの資金流入の約3分の1が欧州株を原資産とするETFに向かった。依然としてグローバル株ETFが最大カテゴリーであるものの、欧州株ETFが“2番手”として確固たる存在感を示し始めている。

背景には、MSCI World に代表される世界株指数の7割を米国株が占めるという構造がある。投資家はドル偏重のエクスポージャーを是正する必要性を強く意識し始め、株式のみならず債券でも欧州関連アセットへと資金を再配分する動きが広がっている。

DWSでは2025年9月に、「Gateway to Europe(欧州へのゲートウェイ)」というCIOレポートを公表していた。

クライン 欧州の投資環境は、米国離れという一過性の動きだけでなく、構造的な魅力が増している。当社CIOであるヴィンチェンツォ・ヴェッダが、欧州の政策・産業トレンドを多角的に分析したのがこのレポート(外部リンク)だ。

例えばドイツでは、5000億ユーロ規模のインフラ投資が今後数年で実行される見通しにある。EU(欧州連合)全体でも、半導体支援の「Chips Act」やグリーントランジション政策の下で、官民の追加投資が拡大している。こうした財政出動は、将来の欧州企業の収益成長を押し上げる強力なドライバーになる。

とりわけ防衛分野は最重要テーマだ。ドイツを中心に国防費の大幅拡大が続く中で、防衛関連企業への支出は確実に増加していく。

実際、2025年に欧州株ETFに流入した約500億ユーロのうち、およそ80億ユーロが防衛関連ETFへの新規投資だった。パフォーマンスも好調で、防衛ETFは欧州籍ETFの中でも“主役”の位置に浮上しつつある。

防衛関連セクターの注目度は日本でも高まっている。ETFでそのチャンスを享受するポイントは何か。

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