来週を考える|The Week Ahead 夏休み前の注目材料2025年7月25日(金)配信号
「I packed my bag」は、欧米でよく知られた記憶遊びで、お子さんのいる読者はご存じかもしれません。一人ずつ順番に自分のバッグに詰めた物を挙げていくのですが、他のプレーヤーが詰めた物をすべて正しい順番で繰り返さなければなりません。この遊びと同じように、投資家も荷物を(全部)詰めて休暇に出かける前に、注目すべきこと、あるいはチェックしておくべきことがまだいくつかあります。
その筆頭が8月1日という新しい期限で、この日までに米国の貿易政策の根本的な方向転換が最終決定される見込みです。しかし、現在の状況は不透明であり、米国と主要貿易相手国との交渉の進展を推測するのは困難です。投資家は、絶えず変化する意思決定に次第に慣れ始めており、期限のさらなる延長や何となく許容できる妥協を期待する向きも少なくありません。一方で、関税が米国経済に与える影響が限定的である限り、投資家の大半はこの状況を楽観視しています。とりあえず今のところ、株式市場が日米貿易協定の発表を歓迎したことは、この説を裏付けているように思われます。
さらに、例によって米連邦準備制度理事会(FRB)のリーダーシップをめぐる不透明感も漂っています。FRB理事会の議長であるジェローム・パウエル氏の任期が終わるのは来年春ですが、パウエル議長の解任あるいは辞任をめぐる臆測がメディアを賑わせています。正式な法的観点からすれば、パウエル議長の早期の交代は微妙な問題であり、資本市場にかなりの動揺をもたらすことが予想されます。とはいえ、パウエル氏とFRBに対し、利下げを含む緩和的な金融政策を取るよう求める圧力は少しも和らいでいません。来週の連邦公開市場委員会(FOMC)会合では、意思決定機関の両極化が進んでいることが露呈する可能性があり、議事録では少数派がより迅速な利下げを主張する場面が見られるかもしれません。
一方、株式市場では、企業の決算発表がピークを迎えています。米国では、決算発表シーズンの滑り出しは好調なもようです。
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