新シリーズ「DC運営 基礎の基礎」も3回目。第1回「DCって何?」第2回「DC制度なぜ・いつ始まったのか」に続いて今回は「では、具体的に何から手をつけたらいいの?」という若手・人事部員の阿部圭介くんの悩みに向き合います。DC運営に詳しいコンサルタントの木須貴司さんは「阿部くん自身がDCの加入者でもあるよね。その自分自身の迷いや悩みに分かりやすく、適切に答えられるDC担当者を目指しなさい」と指南します。

DCという「サービス」を提供

DC制度の概要や歴史については、ある程度分かった気がします。では具体的にDC担当者としては何をすればよいのでしょうか。

木須 DCの実施事業主はある意味、DCというサービスを従業員に提供している立場です。そうすると、DC担当者はサービスの内容が適切か、顧客(加入者)が問題なくサービスを活用できているかーーといったことを確認することが大事になってきます。具体的には主に以下の4点です。

【DC担当者の主な役割】

①加入者に対する制度の説明、投資教育等の運営
②加入者の運用動向、運用商品のモニタリング
③事業主の経営陣などへ①や②の報告
④その他の情報提供(自社DC全体の運用状況や制度変更など)

企業型DCの運営は、基本的に銀行、証券、生損保などの運営管理機関(よく「運菅」と略称されます)に委託されています。運営管理機関とは何か、どういう役割か、など詳しいことは次回じっくりご説明します。

DC担当者は、上に示したような点に関して定期的に運営管理機関から報告を受け、内容を確認する必要があります。運営管理機関からの報告は少なくとも年に1回受け、業務状況を厚生労働省に提出する決まりです。

より具体的な実務的な対応などについては、企業年金連合会が「企業型確定拠出年金制度運営ハンドブック」を公表しています。コンサルティング会社なども研修や勉強会を提供しています。そういったものを活用して勉強していくこともおすすめです。

「運管任せ」はダメ

社内で「すべて運管に任せておけばいいんだよ」といった声を耳にすることがあります。DC担当者は何もしなくてよいのでしょうか。

木須 決してそうではありません。運営管理機関には業務を委託しているだけで、最終的な制度の提供・管理責任は事業主にあります。これは、確定拠出年金(DC)法やその関連規則などでも明確に規定されています。

「DCは自己責任」は無責任

そうはいっても他の業務もあるし、やってもやらなくても自分自身にメリットがある気がしません。会社からも、それほど期待されているようには思えないし……。

木須 まあ、実際のところ、企業年金制度をDCに移行すると会社側はリスクを移転できたと考える傾向がありますね。DCは「自己責任」だから会社は関係ない、と。

しかし、すべての従業員・加入者がDCを自分で選択したわけではありません。会社がその制度を提供しているから加入しただけ、というのがほとんどでしょう。運用商品も会社と運営管理機関が選んだもので、その範囲の中でしか運用できません。「自己責任」といえるほど、従業員の自由な意思に基づいて制度の導入と資産運用が行われているわけではありません。【図表1】で、DB、DCそれぞれについて制度の導入や加入、また資産運用の方法などについて、誰が決めるのかを一覧表で示しました。

【図表1】DB、DCそれぞれの制度ごとの意思決定者
DBDCそれぞれの制度ごとの意思決定者
出所:NFRC作成

海外では「受託者責任違反」で提訴も

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