学校法人・金融法人の担当者必見!機関投資家ゼロからの資産運用 【もっと知りたい!債券】第1回 先進国国債は資産運用の「守護神」〜安定した利回り、上手に活用したいアクティブ戦略
8回にわたってお届けした【オルタナティブ編】の次は【もっと知りたい!債券】です。海外だけでなく、日本でも久しぶりに「金利のある時代」が訪れて、安定した利息収入をもたらす債券が改めて見直されています。しかし、為替ヘッジコストでリターンが大きく損なわれるといったマイナス面も顕在化しています。新シリーズでは、機関投資家にとっての「必須科目」とも言える債券について、ラッセル・インベストメントの金武伸治さんにさらに深く掘り下げていただきます。
債券投資の効用をさらに高める
ここ数年、債券のパフォーマンスが大きく落ち込む局面が多いですね。機関投資家の多くは、債券運用を「主食」と位置付けてきましたが、悩ましい状態です。そこで今回は、改めて債券運用の今日的な意義と今後の見通しなどについて伺いたいと考えています。第1回は、主軸となってきたグローバル国債投資にスポットを当てたいと思います。
金武 今回のメインタイトルは「先進国国債は運用の『守護神』」としました。これは、主要先進国の国債は元本返済リスクの低さから、安全資産として位置づけられるからです。
「守護神」となる理由を具体的に2点挙げましょう。
1つは主な収益源泉が、株式のような価格変動ではなく、良い時も悪い時も変わらず発生する安定収益源泉のクーポン(利息)であることです。
もう1つは、株式などリスク資産との逆相関性です。
信用度の高い先進国国債には、高い価格リターンは求められません。しかし、価格が株式と反対方向に動く傾向があります。特に金利水準が高まった現在では、分散効果によるポートフォリオ全体の安定化に作用します。
「利回りの享受」と「株式との分散」が先進国国債投資の主な目的であることは、これまでにも説明してきました。今回は、その効用をさらに高める方法について見ていきましょう。そのポイントはアクティブ運用にあります。パッシブ運用ではなく、アクティブ運用を活用することで、より効率的な利回りの享受と、株式との分散を実現させることを狙います。
具体的には、利回りの享受であれば、リスクを高めることなく利回りが高い銘柄を選択すること。株式との分散であれば、株式が下落し、金利が低下するような局面で、より金利感応度を高め、価格上昇幅を高めることです。逆に株式が上昇し、金利も上昇するような局面では、金利感応度を落とし、価格下落幅を抑えることとなります。
アクティブ運用に3つの戦略
グローバル国債アクティブ運用の基となる考え方や投資理論について説明してください。
金武 グローバル国債に関するアクティブ運用には多様な戦略があります。大別すると以下の3つです。
2 イールドカーブ【スティープナー・フラットナー】戦略
3 イールドカーブ【バタフライ】戦略
デュレーション戦略とは、金利の方向性予測に基づいて、債券ポートフォリオ全体のデュレーション(金利感応度)を調整する戦略です。金利が上昇すると判断した場合にはデュレーションを短期化し、金利が低下すると判断した場合にはデュレーションを長期化します。国別選択も、各国の金利「水準」の変化を予測して投資配分を決めていますから、広義のデュレーション戦略といえるでしょう。
イールドカーブの形状変化に3つのパターン
イールドカーブとは、つまり債券の残存期間と利回りとの関係を示した曲線ですよね。これに基づく戦略とはどういったものですか。
この記事は会員限定です。
会員登録後、ログインすると続きをご覧いただけます。新規会員登録は画面下の登録フォームに必要事項をご記入のうえ、登録してください。