今年18回目となるグローバル・フィデューシャリー・シンポジウム(GFS)が2024年11月11日から13日までの3日間、東京・六本木のザ・リッツ・カールトン東京で開催された。世界経済の激変期における企業年金のあるべき姿や矜持、今後の展望などについて活発な議論が展開された。インフレ時代に突入する中での受益者還元や「アセット・オーナー・プリンシプル」への対応など、企業年金が果たすべき説明責任についても意見が交わされた。

野村證券グループがメインスポンサーで、今年初めて英国政府がガバメントスポンサーに加わった。「日本の新たなインフレ局面を乗り切るために:アセットアロケーション、リスク・リターン、変遷する世界情勢における課題と投資機会」を全体テーマに、有識者や企業年金の運用責任者らが登壇した。以下、多くの関心を集めたセッションを中心に紹介する。

第1日

DC加入者のために事業主がするべきこと・できること

元本確保型以外へ誘導

第1日は、主にDC(確定拠出型企業年金)向けのプログラムが並んだ。午前中は今回初めての試みとして、「DCスポンサー・ラウンドテーブル」が開かれた。DCを実施している企業の担当者同士が、DCに詳しい専門家をファシリテーターにお互いの取り組みや悩みを話し合った。

冒頭、野村資本市場研究所の野村亜紀子・主席研究員がDC運用の現況を説明した。その中で、DC加入者の長期的利益を考える上では投資信託が望ましいが、全体としては6割に止まり、預貯金や保険商品などが依然4割程度あること。また、指定運用方法の利用状況に目を転じると、設定済みが約4割に留まり、設定していても元本確保型が65%程度を占めることが報告された。

一方、参加者からは「入社式の前に『給与明細』を示すなどして、資産運用が大事なことを教育している」といった声や、「社員に示すDC商品ラインアップの先頭に、元本確保型以外の商品を並べるようにして誘導を図っている」といった例が示された。

資産形成に職場の役割大きい

午後は「2024年年金財政検証とその課題」と題して、慶應義塾大学の駒村康平・経済学部教授が国の年金財政の直近の状態を説明した。

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