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債券 利下げを待つクレジット市場。焦点は日・米からグローバルへ
期待が高すぎた米利下げ転換
米国の利下げがなかなか始まらない。このため、金利も高止まりが続いている。この膠着状態を見ると、アベノミクスの「三本の矢」(大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略)を改めて思い起こす。
短期的課題には財政政策と金融政策で対処し、時間がかかる構造改革を補佐するアプローチだが、当時と違い今は三本の矢がまっすぐ飛びにくい。インフレ抑制のため景気にブレーキを踏む金融引き締め政策は万人受けしないからだ。市場は願望込みで利下げへの期待を高めていたのではないか。
こうした事情もあり、FRB(米連邦準備理事会)は利下げ転換の判断にあたって経済統計という透明性の高い「ファクト」への依存を強めているのが実情だろう。2024年の経済成長ペースは事前予想を上回っており、ソフトランディングの確信は揺らいでいない。よって、需要面から利下げが促されることはなく、米国の利下げはひとえにインフレの鈍化待ちとなっている。
米国では「モノのインフレ」は沈静化し、いよいよ「ヒトのインフレ(サービス価格)」の低下待ちになっている(図表)。
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