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金 金利上昇とドル高要因が後退。2024年は最高値更新の可能性
消費者のインフレ警戒感は衰えず
地政学リスクの高まりを主背景に、究極の安全資産とされる金の価格は2023年11月末現在、1オンスあたり2000ドル前後の高値で推移している。円ベースの金価格も、2022年に幾度か過去最高を更新し、1グラムあたり1万円(消費税込み)を超える水準を維持している。2024年については、市場を圧迫してきた金利上昇とドル高要因が構造的に弱まり、2020年8月に記録した史上最高値である2074.88ドルを更新する可能性がある。
2022年春からのFRB(米連邦準備理事会)による急速な利上げが金相場にマイナスの影響を与えているものの、価格が600ドルほど急落した前回2013年のテーパリング実施時と異なり、今回は堅調に切り上がる展開を見せている。マイナス要因がある一方で、マクロ環境の不確実性の上昇、インフレの高止まり、旺盛な実需などの市場サポート要因が同時に存在しているためだ。これらは前回のテーパリング時にはなかったものである。
しかし、インフレと戦うFRBの利上げ政策は明らかに転換期を迎えつつあり、FOMC(米連邦公開市場委員会)メンバーによる金利予想もそれを裏付けている。それに伴い、ここ数年の構造的なドル高傾向も弱まると思われる。キャッシュフローを生まず、ドルと逆相関の関係にある金にとって、逆風が和らぐ環境となる。FRBの利上げ終了が市場のコンセンサスとなれば、金価格は2000ドル台の中盤まで上昇する可能性は十分にある。
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