【特別インタビュー】東京海上アセットマネジメント 伝統的運用に加えオルタナティブ運用と情報提供で個性あるアクティブハウスに
米国で長期金利が上昇するなど資産運用環境に変化の兆しが見え始めた。投資家の間では運用方針の見直しの動きが広がり、資産運用会社にとってはビジネスチャンスといえる。2018年4月に東京海上アセットマネジメントの代表取締役社長に就任した後藤俊夫氏に同社の経営戦略を聞いた。(取材日:2018年4月24日)
世の中の一歩先行くイノベーティブな企業文化
社長就任から約1カ月。トップとして改めて会社を見回しどんな印象をもったか。
後藤 当社は1985年12月に創業した東京海上グループの中核資産運用会社だ。様々なキャリアを持った人間が集まり、それぞれの強みを発揮する風通しの良い社風と感じている。
他の資産運用会社との違いは。
後藤 イノベーティブな商品開発に積極的な点は優位性の一つと考える。従来から、高い利回りの代わりに自然災害発生時には償還元本が減るCATボンド(保険リンク証券)、創業当初からのミッション実践(図表1)で醸成された「責任投資」のDNAを由来とするエンゲージメントファンドや低炭素ファンドなど、世の中のニーズの一歩先行く商品提供に注力してきた。
チャレンジを良しとする企業文化は、株主構成としての親会社は存在するものの、資産運用会社としては独立した存在とのプロ意識が社員全員に共有されているからだろう。資産運用業界はグローバル競争の真っただ中だが、運用資産残高が大きいだけで生き残れるとは限らない。我々は、創造的かつ個性的な資産運用の専門家集団として、法人から個人まで幅広い顧客から選ばれる存在であり続けたい。
ゲートキーパーとして海外の実力ファンドを発掘
2018年4月に新たにオルタナティブ運用本部を新設した。
後藤 半世紀前に企業年金がスタートした時は、預金でも回るように予定利率は定期金利(5.5%)と一緒だった。1980年代には株式投資が注目を集めるなど、企業年金の世界では様々な運用の選択肢が広がっていった。その後バブルが崩壊し株価は大きく下落、昨今は終わりの見えない超低金利環境下にあり運用の選択が難しくなっている。このため、収益の向上に資する投資対象を探している。
当社では2年前に東京海上不動産投資顧問を合併して不動産分野を拡充するなど、早い段階から企業年金の運用成績に貢献する商品開発・提供を進めてきた。その体制をさらに強化・拡大すべく、今回、不動産運用を含めたオルタナティブ運用本部を新たに設け、PE(プライベート・エクイティ)、ヘッジファンド、不動産、インフラストラクチャーなどの運用機能を集約した。
これからは、主に株式や債券などの伝統資産を扱う運用本部とオルタナティブ運用本部の両輪体制で、お客様の期待の一歩先を行くサービス「TMAM Quality」を提供していく方針だ(図表1)。
■図表1 東京海上アセットマネジメントの経営理念とサービスラインアップ