前回の第8回では、指定運用方法つまり「日本版デフォルトファンド」について木須貴司さんから説明いただきました。その際、指定運用の有力候補として挙げられていたのが「ターゲットイヤー・ファンド」。今後の日本のDCにとって、肝となりそうです。

資産配分・リスク調整「お任せ」

「ターゲットイヤー・ファンド」、ネーミングからして興味があります。

木須 ターゲットイヤー・ファンド(Target Year Fund、以下「TYF」)とは、「将来の退職年=ターゲットイヤーに合わせて、自動的にリスクを調整してくれる」金融商品です。ターゲットデート・ファンド(Target Date Fund)、ライフサイクル・ファンド(Life Cycle Fund)と呼ばれることもあります。

たとえば、2050年ごろに60歳を迎えるなら「2050年ターゲット」のファンドを選びます。すると、若いうちは株式などの成長資産を多めに。年齢を重ねるにつれて、債券や短期資産などの安定的な資産に少しずつシフト。このように「育てる運用から守る運用」へ移行します。年齢に応じた資産配分の調整を、まとめてやってくれる仕組みです。
 
完全に「お任せ」できるのですか。

木須 完全ではないものの「ほぼ」お任せできると言えます。同じ「お任せ」運用でも、固定資産配分型のバランス型ファンドや、絶対収益を目指す運用商品は、加入者の状況に応じて運用が変更されるわけではありません。加入者の状況、たとえば年齢、退職までの残りの運用期間に応じたリスク調整は、加入者側で行う必要があります。そういったことに関して、TYFはより「お任せ」可能です。

完全ではない理由は?

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