9月調査「ESPフォーキャスト調査」の2025年度実質GDP成長率予測平均値は+0.82%と前回から+0.51%から上方修正

宅森 昭吉
9月16日発表の9月調査「ESPフォーキャスト調査」(回答期間:2025年9月2日~9月9日、回答者37名)で、2025年度の実質GDP成長率予測平均値は+0.82%となった。前回8月調査(回答期間:7月30日~8月6日、回答者37名)の+0.51%から大きく上方修正された。6月調査の+0.46%をボトムに3回連続で上方修正されたことになる。
トランプ関税の悪影響などの不透明さが幾分薄れたことなどが影響していると思われる。4~6月期実質GDPは第2次速報値も第1次速報値に続き予測を上回ったことが、「ESPフォーキャスト調査」で8月から9月調査にかけて、2025年度の実質GDP成長率予測平均値が大幅に上方修正された背景である。
8月13日発表の8月調査で、4~6月期実質GDP前期比年率の予測平均値は+0.37%の増加、高位8機関の予測平均値は+1.36%の増加だった。一方、低位8機関の予測平均値は▲0.36%の減少だった。
そのあと8月15日に発表された、4~6月期実質GDP第1次速報値は前期比年率+1.0%の増加で、「ESPフォーキャスト調査」の民間エコノミストの予測平均値を上回った。同時に過去の数値も改定され1~3月期が減少から増加に転じたことで、5四半期連続で増加となった。
さらに9月8日に発表された4~6月期の実質GDP第2次速報値は、前期比年率+2.2%の増加と、第1次速報値から1.2ポイント上方修正された。法人企業統計が利用されたことで設備投資は下方修正されたが、個人消費が前期比+0.4%増と、第1次速報値から0.2ポイント大幅上方修正されたなどが影響した。
形態別でみて、半耐久財が前期比+2.4%と2.0ポイントも大幅上方修正されたことが増加の主因である。第2次速報値に反映された6月分のデータに6月5日に発売されたゲーム機「Nintendo Switch 2」が含まれていたことの影響などが出たものと思われる。

*令和7年度内閣府年央試算:令和7年度前提:円相場145.7円/ドル、原油輸入価格74.0ドル/B
注:(ハイライト部分)民間平均は令和7年9月ESPフォーキャスト調査
出所:内閣府、日本経済研究センター
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8月調査、9月調査とも、あり、なしの回答がほぼ二分される年内の利上げ予想。
特別調査では日銀の金融政策を聞いている。8月調査で25年12月末の日本の政策金利(現行0.5%程度)については、「0.5以上~0.6%未満」の回答が19名(7月調査24名)、「0.7以上~0.8%未満」の回答が18名(7月調査12名)となり、年内の利上げを予想する回答者が7月調査に比べて増えた。26年6月末は0.7以上~0.8%未満」の回答が最も多かった。
続く9月調査では、25年12月末の日本の政策金利(現行0.5%程度)については、「0.5以上~0.6%未満」の回答が19名(8月調査19名)、「0.7以上~0.8%未満」の回答が18名(8月調査18名)と2カ月連続同じ回答になった。年内利上げなし派は19人で、わずかに1人だけ利上げありを上回っている。なお、利上げあり派の18人の内訳は、9月の政策決定会合0人、10月13人、12月5人と、利上げがあるなら10月会合とみるフォーキャスターが多い。

(注2)予測値分布は金利のレンジを表す。例えば「0.5~0.6」は「「0.5以上~0.6未満」の意味。
(注3)最多回答数が色が濃い。
※米18人の詳細。年内最初の変更時期:9月会合 0人、10月会合 13人、12月会合 5人
(出所)日本経済研究センター「ESPフォーキャスト調査」から筆者加工。
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