学校法人・金融法人の担当者必見!機関投資家ゼロからの資産運用 【もっと知りたい!債券】第7回 知っていますか「証券化商品」・後編〜民間系の資産担保証券は信用リスク分析が重要
今回は「証券化商品」の後編です。前編では、多くの証券化商品のうち主に「政府系」のモーゲージ担保証券について、ラッセル・インベストメントの金武伸治さんに解説してもらいました。後編では、一般に「資産担保証券」と称される民間系の証券化商品が対象です。
元利金の受け取りに順位
資産担保証券とは英語でABS(Asset Backed Securities)というのでしたね。
金武 はい。今回は証券化商品のなかでも、非政府系または民間系の資産担保証券にフォーカスしたいと思います(以下、資産担保証券は民間系の意味)。
資産担保証券も政府系モーゲージ担保証券と同じく証券化商品の一種です。つまり裏付けとなる担保資産があり、そこから発生するキャッシュフロー(元利金)を投資家に還元する仕組みの債券です。
政府系モーゲージ担保証券との主な違いは、政府関連機関などからの保証が無いことです。このためクレジット債券としての性質が強く、いわば社債、エマージング債と並ぶ「第3のクレジット債券」と言えます。それだけに、担保資産の質など信用リスク分析が投資判断をする上での要となります。また資産担保証券の担保資産は多岐にわたります。政府系モーゲージ担保証券の主な担保資産は住宅ローンでしたが、資産担保証券の担保資産には住宅ローンの他にも自動車ローンやクレジットカードローン、学生ローンなどがあります。
資産担保証券の最大の特徴は、担保資産から発生するキャッシュフローを受け取る順位が投資家層ごとに異なる「優先劣後構造」でしょう。
「優先」と「劣後」では相反する概念のようですね。
金武 優先劣後構造とは、投資家がキャッシュフローを受け取る際の順位があらかじめ決められているというものです。
例えば投資家に100の資金を支払わないといけない際に、キャッシュフローが80しか発生しなかったとします。この場合、投資家全員に80のキャッシュフローを平等に支払う方法が1つ。もう1つは、事前に決められた投資家に優先的に支払いを行い、その後に残った資金を他の投資家に支払う方法があります。この後者の仕組みを優先劣後構造といいます。
投資家層を階層分け
つまり投資家層を階層分けするということですか。
金武 その通りです。具体的には優先的に支払いを受ける層を「シニア」、最も受け取り順位が劣後する層を「エクイティ」と呼びます。エクイティとは返済期限の定めのない資金のことです。このシニアとエクイティの中間層も存在し、「メザニン」(Mezzanine:中間や中二階の意味)や「ジュニア」と呼ばれます。
このためキャッシュフローの受け取り優先順位としては、シニア、メザニン、ジュニア、エクイティの順となります。つまり担保資産から発生したキャッシュフローを、まずはシニア投資家層が受け取り、それで余った部分をメザニン投資家層が、それでも余った部分をジュニア投資家層、エクイティ投資家層という順番で受け取ります。【図表1】で、担保資産を住宅ローンとした場合のイメージを示しました。
このような優先劣後構造を「トランシェ」(Tranche:フランス語で「切り分ける」の意味)と呼び、これを構築することを「トランチング」(Tranching)といいます。
このようにシニア投資家層には優先的にキャッシュフローを受ける権利があるため、信用リスクが低いと言えます。そしてメザニン、ジュニアと段階的に信用リスクが高まることになります。このため資産担保証券としてのクーポンはシニアが最も低く設定されており、メザニン、ジュニアの順で段階的に高まっていくことになります。

クレジット・リスクの対象は集合体
資産担保証券の場合、投資対象をどのように分析するのですか。
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