学校法人・金融法人の担当者必見! 機関投資家ゼロからの資産運用 【債券・株式共通番外編】第3回 パッシブ・アクティブどう選ぶ?【後編】〜プライベート資産含め効率的な組み合わせが重要
「債券・株式 共通番外編」第3回の今回は、「パッシブとアクティブ」の後編です。第2回の前編では、パッシブ運用とアクティブ運用の違いを淵源にさかのぼりながら、ラッセル・インベストメントの金武伸治さんに解説していただきました。その中で、実際の運用では①パッシブとアクティブの併用が一般的であること②流動性の高いパッシブは資産間のリバランスなどに利用されることが多い──といったことを学びました。
アクティブ、効率的な市場は苦手
私が資産運用を担当していた基金でも、パッシブ運用とアクティブ運用を併用していました。ただ、運用報酬などコスト面ではパッシブが有利ですよね。運用成績も、「外国株式などはアクティブがパッシブに劣後している」という厚生労働省の検討会報告を目にしたことがあります。また、優秀なアクティブの運用者を見つけるのは容易ではない、という指摘もよく聞きます。それでもアクティブ運用は必要なのでしょうか。
金武 とても重要なポイントです。実際、アクティブ運用は投資対象市場の効率性が低いほど強みを発揮する特性があります。例えば、米国大型株式市場は流動性が高く、市場参加者も多数かつ多様であることから、さまざまな情報を市場が十分に株価に反映させることができます。それだけ市場が効率的ということです。従って、米国の大型株式市場はアクティブ運用にとって競争が激しい市場です。
一方、米国以外の国々、具体的には日本株式市場や特にエマージング株式市場、また米国であっても中小型株式市場は、相対的に非効率な市場と考えられており、アクティブ収益機会がより多く存在すると言えます。
また、2008年の世界金融危機(リーマン・ショック)以降の超金融緩和期は、ゴルディロックス相場(適温相場)とも呼ばれていました。市場が楽観的で、かつ低金利政策により資金調達コスト(資本コスト・負債コスト)が低く、企業が存続しやすかったのです。このことによって、良い銘柄と悪い銘柄の格差(銘柄間格差)が発生しづらく、アクティブ収益の機会が縮小しました。
加えて2017年以降は、マグニフィセント7(※)と呼ばれる少数の高ウェイト・高リターン銘柄が、市場全体のリターンを大きくけん引しました。こうなると、割高な可能性があっても、それらの銘柄をオーバーウェイトしないと、ベンチマークには勝てない。これもまた、アクティブ運用にとっては厳しい運用環境でした。
※アルファベット(グーグルの持株会社)、アマゾン・ドット・コム、アップル、メタ・プラットフォームズ(旧フェイスブック)、マイクロソフト、エヌビディア、テスラ
「市場リターン」の時代から「超過リターン」の時代へ
では、今後はどうなのでしょうか。日本を除いた主要先進国がインフレ抑制を目指した利上げを完了させ、現在は政策金利を中立金利に近づけるための局面に来ています。また米国では年明けに政権が変わるなど、経済や企業を取り巻く環境にも変化が生じています。
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