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持続可能な将来とリターンの両立を推進

J-MONEY2019年6月号 注目記事

TOPインタビュー

グローバル・サステナビリティ戦略で
持続可能な将来とリターンの両立を推進

BNPパリバ・グループの運用部門である BNPパリバ・アセットマネジメントでは、 世界の全拠点において、持続可能な将来への貢献と投資リターンの両立を推進している。 日本法人のCEO・代表取締役社長の土岐大介氏に、 同戦略に込めた理念や他の運用会社との違い、日本の年金基金が関心を寄せる 運用ソリューション・資産クラスについて聞いた。(柴田哲也)

BNPパリバ・アセットマネジメント
CEO・代表取締役社長
土岐 大介氏

3つの「E」に焦点を当て
企業や規制当局と対話

──他の運用会社との違いは。

土岐 BNPパリバ・グループは、欧州を本拠とする世界有数の金融グループだ。ユーロ圏トップクラスの収益力を誇り、欧州はもちろん米国やアジアでもプレゼンスを拡大している。  

 運用部門のBNPパリバ・アセットマ ネジメントも、世界32カ国で40超の運用チームに属する530人超のプロフェッショナルを中心に業務展開している(図表1)。その日本拠点である当社は1998年の業務開始以来、機関投資家向けと販売会社を通じた個人投資 家向けに包括的な資産運用サービスを提供している。グループの豊富な経営資源と信用力を背景に、日本での多様な資産運用ニーズに即した投資ソリューションの提供に努めている。  

 運用会社としての特徴は、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資やサステナビリティ(持続可能な将来への貢献と投資リターンの両立)戦略に、グローバルレベルで深く取り組んでいることだ。2019年3月にはグローバル・サステナビリティ戦略(GSS)を公表した(図表2)。GSSにおいて、持続可能な将来への実現に運用会社のサステナビリティ戦略を通じて貢献していくことを明言している。他の運用会社で見られるような、銘柄選択プロセスにESGスクリーニングを加味するだけではないスタンスが大きな違いと考える。

■図表1 BNPパリバ・アセットマネジメントの概要(グローバル・ベース)

■図表2 グローバル・サステナビリティ戦略(GSS)のポイント

──GSSのポイントはどこか。

土岐 全社的な取り組みとして、サステナブル投資に関する目標と今後の道 筋を明確にし、金融関係者やお客様とともに、「フューチャー・メーカー」 として積極的に貢献する明確な決意を発表した点だ。パリの社内専門組織であるサステナビリティ・センターを核に世界の全拠点で目標を共有し、リターンと将来との整合を図る。具体的には、全運用資産に当方針を適用し、①ESG統合、②スチュワードシップ、③投資対象除外、④フォワード・ルッキングの観点を4本柱とする。  

 また、④では、持続可能性の主要テーマである「エネルギー(Energy)転換」「環境(Environment)」「平等(Equality)」の3つの「E」に焦点を当て、目標とともに、投資先の二酸化炭素排出量、水資源利用量、森林破壊、労働搾取などに関するKPI(主要業績指標)を設定した。これらの目標やKPIを活用しながら、投資リサーチ部門と運用部門に代表される社内のコミュニケーションのほか、投資先企業や各国の規制当局といった社外の関係者とのエンゲージメントに積極的に取り組んでいる。

2020年には、SDGsにリンクした
新長期目標を追加導入する

───なぜ、そこまで力を入れるのか。

土岐 企業を調査して選別投資する運用会社だからこそ、企業側の考え方や行動に影響力をおよぼせる。良いパフォーマンスを提供して顧客の富を保全・増やすことに加えて、投資家である立場を活用して、持続的な世界をつくることにも貢献できるのが我々運用会社だ。  

 サステナビリティ戦略および関連す るチームやシステムへの投資は、我々の強い意志の反映だ。この取り組みを推進することで、顧客に持続可能なリターンを提供できると考える。戦略の進ちょくは定期的に開示する。2020年には、3つのEに関連し、かつ特定のSDGs(持続可能な開発目標)にリンクした新たな長期目標を追加導入する予定だ。2016年発効の温暖化対策の枠組み「パリ協定」や、2015年に国連サミットで採択されたSDGsが求める将来のために、今こそ金融界が断 固とした役割を果たすべきと考える。

───GSSの哲学に賛同して投資している日本の機関投資家はいるか。

土岐 当社には、水処理や節水、水リサイクル、水道網の質の向上などを手がける世界の企業に投資する水資源関連株式戦略などもあり、日本の一部の年金基金に採用いただいた。様々な商品提供を通じてGSSの理念を一層広めていきたい。

ソーシング力を備えた
プライベート・デットに強み

───足元では、世界的な低金利の影響もあり機関投資家は運用難に直面している。商品ラインアップのなかで、とくに強みとする資産クラスは。

土岐 まずはプライベート・デットで、 国内投資家向けにすでに提供している欧州ABS(資産担保証券)戦略のほか、インフラデット戦略などが含まれる。インフラデットを投資戦略として商品化するには、運用者自らが企業の資金ニーズを発掘しなければならない。機関投資家の安定運用ニーズに応えるには、業種や地域などを分散する必要もある。流動性が低く、他の資産に比べて市場規模が小さいプライベート・デット投資では、運用者のソーシング力(案件発掘力)がパフォーマンスを左右する。当社が属するBNPパリバ・グループは世界中の様々なプロジェクトに関与し、企業の資金ニーズについて豊富な情報をもつ。当社は利益相反の懸念を確実に回避しながら、グループ内で適切に連携して投資妙味の高い案件に投資する。

───日本の年金基金の間では、長期安 定運用に資するオルタナティブ資産の関心が高い。

土岐 現在、日本でオルタナティブ資産といえば不動産などのイメージが強いが、我々は、今後インフラの注目度が高まるとみている。従来のインフラ投資の対象資産は、海外の発電所や空港などが多かった。一方、日本では、今後多くの公共施設が老朽化による更新時期を迎える。政府は公共施設の整備・運営と財政健全化を 図るために、民間の創意工夫で新たな価値・ビジネス機会を創出する「PPP/PFI(官民連携事業/民間資金等活用事業)」に力を入れている。これにより、日本国内でインフラ投資に適した資産が続々と誕生するだろう。  

 BNPパリバ・グループの地元のフランスでは、水道など公益事業の民間委託が早くから行われている。それに伴いインフラ投資用の資産が市場に供給され、金融商品化が進んだ。当グループが培ったインフラ資産の選別や商品化のノウハウは、日本のインフラ資産でも十分に発揮できる。現状、インフラ商品は金融機関向けなどが中心だが、今後は年金基金も利用しやすい国内資産のインフラ商品も開発・提供していきたい。