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金融、建設、REITなど多彩な発行体

J-MONEY2019年2月号 注目記事

ESG債

「ESG債元年」の2018年は銘柄急増
金融、建設、REITなど多彩な発行体

日本企業のESG(環境・社会・ガバナンス)債の発行総額が急増している。背景には、ESG 投資の浸透や発行企業に対する環境省のコスト補助、従来の生命保険会社に加えて地域金融機関の購入増などが挙げられる。発行企業の間では、ESG 債は投資家層の新規開拓にも有効と注目を集める。

環境省のガイドラインが転機

 ESG債には明確な定義はないが、国内の金融業界ではグリーンボンド(環境債)、ソーシャルボンド(社会課題解決型)、サステナビリティボンド(環境と社会の両面に配慮)などの総称として用いられることが多い。「企業が格付会社など第三者の認証機関の評価や意見(レビュー)を取得し、ESG債として発行する流れが一般的だ」(みずほ証券 プロダクツ本部 副本部長の戸高洋祐氏)。

 日本におけるESG債は、先行している欧州企業の取り組みなどを参考にする形で動き出した(図表1、2)。

 「最初の転機は2017年3月に環境省がグリーンボンドガイドラインを公表したこと。政府の“お墨付き” が得られ、企業も前向きに検討するようになった。さらに環境省が2018年度から認証機関のレビュー取得費など、通常の社債に比べた場合の追加費用分を補助する事業をスタートしたことでコスト面のハードルが低くなり、ESG債発行に弾みがついた。銘柄が急増した2018年は、日本のESG債元年といえるだろう」(戸高氏)

投資家層の新規開拓も期待

 これまでの発行企業を見ると、銀行やリースなどの金融、建設、REIT(不動産投資信託)などが並ぶ(図表3)。ESG債発行で持続的な社会づくりに積極的との企業ブランドの向上効果が見込めるほか、ESG債という“ラベル” を貼ることで、新規の投資家層の開拓やすでに自社の社債を保有している投資家に追加購入を勧めやすいといった狙いもあるようだ。

■図表3 日本企業が発行したESG債(ABS除く)の概要(2018年12月末現在)(クリックするとPDFが開きます)

 ESG債の一種のグリーンボンドには、発行企業のホームページなどに購入した投資家名を掲載する「投資表明」という仕組みがある。最近、この投資表明欄で目に付くのが信用金庫や信用組合などの地域金融機関だ。

 「持続可能な社会の形成というキーワードがイメージしやすいESG債は、預かった資金の投資先として預金者などステークホルダーに説明しやすい。今後ESG債の発行が増えて市場の流動性が増せば、投資家層はより一層広がるだろう」(戸高氏)