UBS 三井住友トラスト・ホールディングスと提携、2021年に富裕層ビジネスの新証券会社設立
UBSは2019年6月、日本におけるウェルス・マネジメント事業の強化を目的として、三井住友トラスト・ホールディングスとの提携を発表した。ウェルス・マネジメント ジャパン ヘッドのビクター・チャング氏に、提携の狙いや将来像を聞いた。(取材日:2019年7月3日)
なぜ、提携相手が三井住友トラスト・ホールディングスなのか。
チャング 我々は、2004年から日本でウェルス・マネジメント事業を展開しており、順調に成長を続けている。
同事業をさらに拡大し、当社が欧州で行っているユニバーサル・バンクのサービスをお客様にお届けするには、「信託」「不動産」「商業不動産ローン」の拡充が欠かせない。商品提供でこの上ない補完関係にあり、しかも両グループに事業上の重複がない。最適の提携相手と考え、決断した。
今後のスケジュールは。
チャング 規制当局の承認を経た後、2019年末に共同出資のマーケティング合弁会社を設立し、富裕層向けのカウンセリングやセミナーなどを開催しながら提供サービスなどを詰める。
そして2021年には、現在のUBS証券のウェルス・マネジメント部門をベースにした新証券会社を設立。新会社にはUBS証券が51%、三井住友トラスト・ホールディングスが49%出資する。
日本の富裕層にとってのメリットは。
チャング 新証券会社は、グローバルレベルの証券運用や資産管理と、日本の法制度や事情に合った相続・資産承継、事業承継、不動産などに関連するサービスをワンストップで提供する。
私たちのビジネスは、お客様個人の資産だけでなくその家族、事業をも合わせた「トータル・ウェルス」にソリューションを提供するもので、今後はこれを両グループの既存顧客はもちろん、潜在顧客層にも提供することになる。日本の富裕層の世帯数は依然増加傾向にある。今回の提携を機にさらに加速度をつけて事業を拡大していきたい。