TOPインタビュー グローバル・サステナビリティ戦略で持続可能な将来とリターンの両立を推進
BNPパリバ・グループの運用部門であるBNPパリバ・アセットマネジメントでは、世界の全拠点において、持続可能な将来への貢献と投資リターンの両立を推進している。日本法人のCEO・代表取締役社長の土岐大介氏に、同戦略に込めた理念や他の運用会社との違い、日本の年金基金が関心を寄せる運用ソリューション・資産クラスについて聞いた。(柴田哲也)
3つの「E」に焦点を当て企業や規制当局と対話
他の運用会社との違いは。
土岐 BNPパリバ・グループは、欧州を本拠とする世界有数の金融グループだ。ユーロ圏トップクラスの収益力を誇り、欧州はもちろん米国やアジアでもプレゼンスを拡大している。
運用部門のBNPパリバ・アセットマネジメントも、世界32カ国で40超の運用チームに属する530人超のプロフェッショナルを中心に業務展開している(図表1)。その日本拠点である当社は1998年の業務開始以来、機関投資家向けと販売会社を通じた個人投資家向けに包括的な資産運用サービスを提供している。グループの豊富な経営資源と信用力を背景に、日本での多様な資産運用ニーズに即した投資ソリューションの提供に努めている。
運用会社としての特徴は、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資やサステナビリティ(持続可能な将来への貢献と投資リターンの両立)戦略に、グローバルレベルで深く取り組んでいることだ。2019年3月にはグローバル・サステナビリティ戦略(GSS)を公表した(図表2)。GSSにおいて、持続可能な将来への実現に運用会社のサステナビリティ戦略を通じて貢献していくことを明言している。他の運用会社で見られるような、銘柄選択プロセスにESGスクリーニングを加味するだけではないスタンスが大きな違いと考える。
■図表1 BNPパリバ・アセットマネジメントの概要(グローバル・ベース)
■図表2 グローバル・サステナビリティ戦略(GSS)のポイント
GSSのポイントはどこか。
土岐 全社的な取り組みとして、サステナブル投資に関する目標と今後の道筋を明確にし、金融関係者やお客様とともに、「フューチャー・メーカー」として積極的に貢献する明確な決意を発表した点だ。パリの社内専門組織であるサステナビリティ・センターを核に世界の全拠点で目標を共有し、リターンと将来との整合を図る。具体的には、全運用資産に当方針を適用し、①ESG統合、②スチュワードシップ、③投資対象除外、④フォワード・ルッキングの観点を4本柱とする。
また、④では、持続可能性の主要テーマである「エネルギー(Energy)転換」「環境(Environment)」「平等(Equality)」の3つの「E」に焦点を当て、目標とともに、投資先の二酸化炭素排出量、水資源利用量、森林破壊、労働搾取などに関するKPI(主要業績指標)を設定した。これらの目標やKPIを活用しながら、投資リサーチ部門と運用部門に代表される社内のコミュニケーションのほか、投資先企業や各国の規制当局といった社外の関係者とのエンゲージメントに積極的に取り組んでいる。