GAMオルタナティブ・リスク・プレミア戦略

ロングオンリーとは異なる手法で伝統的資産と低相関のリスクを取る

ラーズ・イェーガー氏伝統的にアルファとみなされていた領域を切り分けて、従来のマーケット・ベータ以外のシステマティック運用によって得られる収益を「オルタナティブ・リスク・プレミア」と位置づけるのが、「GAMオルタナティブ・リスク・プレミア戦略」の基本的な考え方である。

伝統的な運用手法との相関が低く、絶対収益を狙うための戦略は長らくヘッジファンドの役割とされていたが、現在では状況が変化していると語るのは、GAMでオルタナティブ・リスク・プレミア責任者を務めるラーズ・イェーガー氏だ。「2002年から2007年にかけて、ヘッジファンドの平均的なリターンは運用手数料の控除後で6%強だった。しかし、2009年から2017年までの平均は2.5~3%程度まで下がってしまった。もし同程度のパフォーマンスをより低い手数料で実現できれば、投資家の需要に合致したリターンを提供できるのではないか」

オルタナティブ・リスク・プレミア戦略の基本は、相場変動リスクのみを取るロングオンリーの投資とは異なる手法でリスクを取ること。具体的には、「バリュー」「モメンタム」「キャリー」の3つのスタイルでの投資である。いずれも株式だけでなく、債券や為替、コモディティなどあらゆる資産クラスが対象となる。「バリュー」とは、過小評価されている資産に投資する戦略。「モメンタム」はトレンドが持続する傾向を利用した戦略。そして「キャリー」は資産ごとの利回り格差から収益を得る戦略だ。

「この戦略の魅力は、伝統的資産との相関が低く、なおかつ同じスタイルでも資産クラス間の相関が低いので、分散の効いた投資が可能となることだ。複数のスタイルと資産クラスを適切に組み合わせることで、期待リターンを上げ、ボラティリティを低くすることができる」(イェーガー氏)

こうした投資戦略をシステマティックに行うことで、運用の透明性を確保しながら低い手数料を実現する。運用実績は、2012年4月1日から2017年末まで年率4.2%(手数料控除前、コンポジット)のリターンとなった。2004年を起点とすると、2017年末までの年平均リターンは5.2%(例証を目的とする同戦略のパフォーマンス)となっている。

GAM日本株式集中投資戦略

銘柄選択のみを収益の源泉として長期投資で超過リターンを狙う

三戸玲子氏日本企業のなかから業界をリードする企業を厳選する「Japan Equity Leaders戦略」に基づいた運用を行う「GAM日本株式集中投資戦略」。その特徴は「集中投資」「長期投資」「等額投資」の3つの方針に集約される。

投資する銘柄は、20~30程度まで絞り込む。2018年1月時点で保有しているのは23銘柄。一度投資した銘柄は基本的に5年以上保有し、現在のポートフォリオの大半は10年ほど保有する銘柄だ。各銘柄へ等額に配分(23銘柄の場合1銘柄4.35%程度)し、年1回のリバランスを行う。

多くのアクティブマネージャーは、特定の銘柄についてオーバーウェイト、あるいはアンダーウェイトを行うことでより大きなリターンを狙うが、同戦略ではそうした手法を採用しない。同戦略のポートフォリオ・マネジャーを務める三戸玲子氏は、長期投資と等額投資を重視する理由について次のように説明する。

「銘柄によっては季節要因や突発的な要因のため、一時的にパフォーマンスが弱まることがある。そのたびに銘柄を入れ替えたり、ウェイトを変更したりするのは、該当する銘柄だけでなく、他の銘柄とのバランスを考慮しながら売買しなければならず、大きな手間がかかってしまう。そうした手間をかけるより、当戦略では銘柄選択に運用チームのリソースを集中させ、銘柄選択のみを収益の源泉にしたいと考えている」

銘柄選択においては、4つのフィルターを基準として優良企業を発掘する。1点目は売上と収益の安定的な成長。年平均5%以上の成長率を目安とする。2点目が資本効率。売上に対する固定資産の割合が低い企業が評価される。「アセットを使わずに売上を上げられるのは、その企業に技術などの裏付けがあるということ。市場環境が変化した際に、アセットの価値が毀損することによる影響が相対的に小さいのも重要だ」(三戸氏)

3点目は収益性。平均ROEが10%以上を基準とするが、ROEの値だけでなく、その水準を長期的に維持できるかどうかを重視する。4点目が財務指標。ネットDEレシオ(自己資本に対する負債の割合)が100%未満の企業が投資ユニバースの対象となる。

Japan Equity Leaders戦略は、2008年7月の運用開始から2017年末までのすべての年において、対TOPIXで超過収益を獲得した。株式市場全体が上昇した2017年においても、TOPIXを大幅に上回るリターンを実現している。