世界の金融機関を対象にリスク管理ソリューションを提供するアクシオマは、2016年に日本支社を開設。日本でのサービスを拡充していく構えだ。同社のアジア地域を統括するジョエル・カヴァデール氏に話を聞いた。(取材日:2018年1月24日)

ジョエル・カヴァデール氏
アクシオマ・リミテッド
マネージング・ディレクター
アジア・パシフィック
ジョエル・カヴァデール

日本の運用業界をどう見ているか。

カヴァデール 日本も欧米も同じ課題を抱えている。現状で3つの大きなテーマが挙げられる。ひとつはコスト。低金利環境の下、運用報酬の低減に対するプレッシャーから運用者にはコスト削減の圧力が高まっている。2点目は規制。透明性向上への流れはコスト削減圧力とも密接に関連する。3点目が運用プロセスの効率化だ。より高度で透明性があり、かつコストパフォーマンスに優れたシステムが求められている。アクシオマでは、これらの課題に対応し、資産運用のプロセスをサポートするサービスをグローバルに提供しており、日本も例外ではないと考えている。

アクシオマのサービスの特徴とは。

カヴァデール アクシオマのサービスはマルチアセットに対応しており、高度な分析技術を核としたリスクコントロールが我々の強みだ。リスク管理は単一のリスクモデル、単一の手法で完結するものではなく、運用戦略、顧客のニーズや市場環境の変化に合わせて、複数のモデル・手法を用いて多角的かつ柔軟に考えるべきもの。我々が提供するのはモデルそのものに留まらず、リスク分析やポートフォリオ構築のプロセスだ。その一環として、顧客がモデルを自由に設計できる「カスタムリスクモデル」の機能を提供していることも、アクシオマ独自のサービスといえる。

スマートベータの構築や分析もアクシオマの得意分野だ。この分野は、日本に限らず世界的に見ていまだ開発途上にあり、いわゆるスマートベータと呼ばれる投資戦略のなかには、本来の目的から外れたリスクを不用意に取っているものが散見される。我々はそうしたリスクを正しく測定し、パフォーマンスの透明性を確保するための手段を顧客に提供することで業界の進歩に貢献したい。洗練されたリスクモデルと柔軟な最適化ツールの組み合わせは、この分野の運用商品の開発に欠くべからざるものだ。

どのような顧客を対象としているのか。

カヴァデール アセットマネジメントや年金、銀行や証券など、バイサイド、セルサイドを問わず、アクシオマのリスク管理技術はさまざまな顧客の課題を解決できると確信している。現在、日本のオフィスを通じ日本語でサービスを提供する環境が整ったので、現在グローバルに展開しているサービス、ソリューションをぜひ広く日本の金融、運用業界の皆様に経験していただきたい。そのためにセミナーなどの啓蒙活動も行っていきたい。