小池 広靖
公益社団法人日本証券アナリスト協会 会長(代表理事)
野村アセットマネジメント CEO 兼 代表取締役社長
小池 広靖

新年度が始まる。過去2年、新型コロナウイルスの感染拡大で、経済・社会は大きく混乱した。100年前のスペイン風邪もほぼ3年で終息したと言われている。今年度こそいよいよ日常が戻ってくると期待したい。

コロナ禍の非日常の下にあっても、世界の金融市場は大きく変化している。特に、企業のサステナビリティ関連の情報開示については動きが急だ。2021年11月、英国で開催された国連気候変動枠組条約締約国会議において、国際サステナビリティ基準審議会の設置が公表された。国内でも、サステナビリティ基準委員会の設立が決まり、2022年に入り準備委員会が立ち上がっている。

私達、日本の金融市場で働く者も、こうした動きに素早く対応していかなければならない。環境(E)・社会(S)・カバナンス(G)にかかる情報開示のあり方はどうあるべきか。それをいかに企業評価に結び付けていくか。検討すべきことは多岐にわたる。

そしてもう一つ、サステナビリティ関連ほど目に見えた動きはないが、国民の資産形成を、多様なニーズに合わせ、どう効果的に実現していくかが、いよいよ本格化する高齢化のなかで、ますます重要になっている。

日本銀行によれば、2021年9月末の個人の金融資産額は約2000兆円とのことだ。その中味をみると、金融市場が大きく変わっているなかにあっても、構成はあまり変わっていない。日本経済の成長率底上げという観点からも、より効果的な運用が一層求められている。

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お客様の個々の事情に合わせ最適な資産形成を実現していく上では、運用の決定に携わる者、お客様との接点にいる者、いずれにおいても、これまで以上に高度な機能を果たすことが求められる。

サステナビリティ関連の情報も踏まえ、金融機関のサービスを求めておられるお客様の様々なニーズに、的確に応えることができるよう、日本の金融市場全体として実力を高めていかなければならない。

コロナ禍を経て、これからやってくるであろう新しい日常においては、日本の金融仲介のあり方もまた新しい局面に入っていくに違いない。日本証券アナリスト協会としても、日本で暮らす人が、世界を視野に入れた最適な資産形成を実現できるよう、常に新しい目を忘れず、日本の金融市場の発展に貢献をしていきたいと考えている。