会員限定
「カジノ資本主義」のクラッシュをFRBは回避できるか?
想定を遥かに上回るカジノ化の進展
「カジノ資本主義」。イギリスの国際政治学者、故スーザン・ストレンジが1986年に著した慧眼の書である。世界の金融システムや経済がカジノ化の様相を呈し始めており、それが人々の暮らしを不安定化させると彼女は警告した。それから35年、金融や経済のカジノ化はストレンジの想定すら遥かに上回って進んできたように思われる。
このグラフ(図表1)は、米国の株価指数(S&P500)と名目GDP(国内総生産)について1970年を100として比較したものである。
【図表1】米国:名目GDPと株価(1970年第1四半期=100)
これを見ると、1970~1980年代の株価は名目GDPよりも上昇ペースが遅かったことが分かる。高インフレとそれにともなう高金利が主因である。例えば1980年代前半の米10年国債の平均金利はなんと12.4%だった。
その後、インフレと金利が低下し始めるにつれ、株式市場でバブルが発生しやすくなってくる。ストレンジが懸念した「カジノ資本主義」が本格的に顕在化してきたのである。
この記事は会員限定です。
会員登録後、ログインすると続きをご覧いただけます。新規会員登録は画面下の登録フォームに必要事項をご記入のうえ、登録してください。