世界的に低金利環境が蔓延するいま、流動性を確保しながら安定的なリターンを期待できる運用戦略が消滅しつつある。そんな中、債券ポートフォリオの代替として有力な選択肢を提供するのが日興アセットマネジメントだ。

金利の水準や方向性に左右されず収益を確保

コロナ禍からの回復過程で、世界各国はこれまでにない規模の金融緩和と財政出動を行った。その結果、世界的に金利は低下し、いままで債券投資が担ってきた流動性を確保しながら安定的なリターンを期待できる伝統的資産の選択肢が、世界中の運用環境から無くなりつつある。

そんな中、2020年2月というコロナ禍での設定にもかかわらず、8月末時点で2.13%(※)のリターンを出し、多くの年金基金や金融機関から注目を集めている運用戦略がある。日興アセットマネジメントの『先進国国債レラティブバリュー戦略』がそれだ。

竹本好克氏
日興アセットマネジメント
プロダクト&ソリューション本部
オルタナティブ・年金商品担当部長
竹本 好克

同戦略が投資対象とするのは、信用力が高く流動性に優れた先進国の国債および金利・債券のデリバティブ。金利リスクや信用リスク、流動性リスクを取るのではなく、価格の歪み(ミスプライシング)を収益の源泉にしている点が大きな特徴だ。「金利の水準や方向性に左右されず、株式市場との相関関係も低いため、あらゆる運用環境でリターンを追求できる」――。こう話すのは、日興アセットマネジメント オルタナティブ・年金商品担当部長の竹本好克氏だ。

同戦略にとってコロナショック以降は、特に投資機会に恵まれた環境だったといえる。その理由の一つが、国債市場における需給の不均衡だ。各国中央銀行の大規模な金融緩和の一方、財政刺激策として国債の供給量は大幅に増加。この新たな需給要因の台頭によって、ミスプライシングが起きやすくなったのだ。さらにその後の回復局面でも投資機会は豊富にあり、安定的にリターンを稼いだ。竹本氏は「同戦略がリスクオン/リスクオフを問わず機能することがコロナ禍で証明できた」と胸を張る。

コロナ禍で増える投資機会同戦略が実践した3つの事例

ゴピ・カルナカラン氏
アデア・インベストメント・マネジメント
共同CIO
ゴピ・カルナカラン

同戦略を担うのは、オーストラリアのシドニーを拠点とするアデア社。2008年の設立以来、債券レラティブバリュー戦略に特化している運用会社だ。マーケットへの造詣の深さには一日の長があり、運用担当者のキャリアも長く、相場における投資家の行動パターンも熟知している。同社の共同CIOであるゴピ・カルナカラン氏にコロナ禍における同戦略の投資事例を聞いた。

まずは豪州国債の現物とデリバティブを使った投資だ。世界中で国債の新規発行が大規模に行われており、供給量が増えている。新発の国債は通常、既存のものより割安に発行されるもの。「伝統的な債券運用は基本的にロングオンリー。割安に買えても金利水準が低いため利回りはほぼ期待できないにもかかわらず、金利リスクを負う必要がある。一方、当戦略では、デリバティブも使うことで金利変動リスクを消し去り、純粋に国債価格の割安さだけを抽出してリターンを享受することを可能にした」(カルナカラン氏)。

これは国債の発行が増えるという供給サイドから生まれたレラティブバリュー戦略の事例。一方で需要サイドから生まれたのが日本国債を使った事例だ。日本国債は日銀の買い入れに支えられることで、世界的に金利が低下する3月以降、ミスプライシングが起こりやすい環境にあった。「中でも7年ゾーンは先物が買われたことによって割高になり、他の年限をアウトパフォームする格好になった。そこで『7年物の売り』と『4年物と9年物の買い』を組み合わせて、両者のミスプライシングを取る戦略を実践した」(カルナカラン氏)。

さらにカルナカラン氏は、3つ目の事例として米ドル金利オプションの取り引きを挙げる。低金利環境下では、利回りを追求する投資家による、プレミアム狙いのオプション売り需要が積み上がる傾向がある。そのためボラティリティが上昇するリスクオフ時に収益を獲得できるオプション買いのポジションを割安に構築することができ、ポートフォリオのリターンの安定に寄与した。

参考ポートフォリオを利用したシミュレーションと株式市場、債券市場との関係
当戦略の運用開始以来・月間騰落率と基準価額
出所:アデア
海外株式:MSCI Kokusai(円ベース) ハイイールド債券(円ヘッジ):Bloomberg Barclays グローバル・ハイイールド・インデックス(円ヘッジベース) 海外債券:Bloomberg Barclays グローバル総合インデックス(米ドルベース) ※各指数は当戦略のベンチマークではありません。
●上記グラフは、参考ポートフォリオのリターンをもとに、所定の条件の下で当戦略の過去のリターンを推計したシミュレーションの結果を示すものです。期間:2012年8月~2020年2月。
●シミュレーションのリターンは、円ベース、運用報酬等フィー控除前、取引費用控除後、利子・配当収入等再投資後。
●参考ポートフォリオは、当戦略と基本的に同一の投資戦略・投資プロセスの下で運用されていますが、目標リターン・目標リスク、インフレ・ヘッジ対応ポジションの有無、現物債券の投資範囲などが当戦略とは異なります。
●上記に計算される指数に関する著作権・知的財産権その他一切の権利は当該指数の算出元または公表元に帰属します。
●上記データは過去のものまたはシミュレーションの結果であり、将来の運用を約束するものではありません。

日本市場向けにカスタマイズ投資家の課題解決に貢献

債券レラティブバリュー戦略というと、特定の機会に集中投資するヘッジファンドを連想するかもしれない。しかし同社の戦略は、分散とバランスを重視しつつ、流動性を確保した多様なポジションを構築する投資姿勢が特徴的だ。

「アデア社の投資アプローチは、信用リスクを取らず、市場の非効率性を源泉に安定的なリターンを追求することを重視する。これは日本の機関投資家が抱える課題を解決する有効な戦略になるはずだ」とカルナカラン氏は力強く語る。

グローバル展開を本格化しているアデア社は今後、特に日本市場を重視していくという。それゆえ『先進国国債レラティブバリュー戦略』は、本国の旗艦ファンドを日本の投資家のニーズに合わせて設計し直している。竹本氏は「旗艦ファンドはオーストラリアの大手年金基金を主な顧客にしているため、豪州の消費者物価指数(CPI)をベンチマークにした、きわめて保守的な運用をしている。一方で日本の投資家向けには債券代替としての性格をより一層強めるため、円の短期金利にベンチマークを変更した上でリスク水準を3%程度に引き上げ、円ベースでアルファを出せる設計にした」と説明。カルナカラン氏は「日興アセットマネジメントと連携しながら日本の投資家向けにカスタマイズした同戦略の投資機会は、コロナ禍でこれまで以上に増えており、この傾向はこの先、数年にわたって継続するだろう」と語る。

金利収入が世界的に期待しにくいいま、債券の代替になり、なおかつ流動性も兼ね備えた同戦略は貴重な存在といえる。債券ポートフォリオを構築する際の有力な選択肢として、検討してはどうだろう。

(※)当戦略の代表ファンドの設定来パフォーマンス(報酬控除後)。2020年2月27日~2020年8月31日。上記は過去のものであり、将来の運用成果等を約束するものではありません。
[投資対象:日興アセットマネジメント株式会社の先進国国債レラティブバリュー戦略に合致した有価証券および金融派生商品]
●報酬等の概要:お客様には以下の費用をご負担いただきます。
<投資顧問報酬等>投資顧問報酬:投資顧問契約及び投資一任契約の対価として、投資資産残高(投資資金額が10億円以上であることが前提)に対して年率3.0%(税抜き)を上限とした投資顧問報酬が契約期間に応じてかかります。また、契約内容によっては、固定報酬に加え成功報酬をご負担いただく場合があります。その他費用:組入れ有価証券の売買委託手数料など。また投資信託に投資する場合、信託財産留保額、組入れ有価証券の売買委託手数料、有価証券の保管などに要する費用、管理費用、監査費用、設立に係る費用、借入金の利息、借株の費用などがかかる場合があります。
※その他費用については、運用状況などにより変動するものであり、事前に料率、上限額などを表示することができません。契約に関してお客様が預託すべき委託証拠金はございません。当戦略の投資に際しては、投資一任契約に基づき投資信託に投資する場合があります。
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①価格変動リスク、②流動性リスク、③信用リスク、④為替変動リスク、⑤カントリーリスク、⑥デリバティブリスク、⑦マーケット・ニュートラル戦略およびロング・ショート戦略固有のリスク

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