2013年のベストディールを表彰する「ディール・オブ・ザ・イヤー」。金額規模や執行業務の鮮やかさ、資本市場に与えた影響、執行後のパフォーマンスといった点を基準に、10部門のベストディールを選定した。
(J-MONEY編集部 ※データはディールロジック提供)
M&A部門
ベストM&Aディール(OUT-IN)
中國信託商業銀行による東京スター銀行の買収
OUT-IN型M&Aのなかでも、初の試みとして注目を集めたのが中國信託商業銀行(CTBC)による東京スター銀行の買収だ。海外ファンドによる邦銀買収は過去に事例があるものの、外国銀行が買収するケースは今回が初。
2013年10月31日、CTBCは主要株主である米投資ファンドのローンスターを筆頭とした特別目的会社2社(シャイニング・スターおよびアライド・ホールディングス)から、発行済み株式98.16%を520億円で取得する意向を発表した。
東京スター銀行は、首都圏を主な営業基盤とした上位第二地方銀行で、預金残高は2013年3月時点で約2兆1000億円。今回の買収でCTBCの海外子会社となる予定だ。
CTBCは、台北市に本社を置く台湾大手の商業銀行。台湾の上場企業による日本でのM&Aとしては過去最大規模であり、日本におけるウェルスマネジメント(富裕層向け金融サービス)へのプラットフォーム構築の第一歩といえる。規模の大きさや前例のない邦銀買収という観点から、ベストディールに選出した。
CTBCは国際金融業務支店(OBU)を通じ、法人向け外国為替事業や中小企業などの顧客基盤の拡充・拡大を目指す。そのほか、ローンや為替管理、資金調達などあらゆる分野での海外取引サービスを推進し、東南アジアや中国へ進出を希望する日本企業への融資もさらに強化する狙いだ。
2011年に締結された「日台民間投資取り決め」による投資の自由化や規制緩和などを背景に、アジア地域における地銀としての地位を確立すべく戦略的に実行された今回の買収。邦銀のみならず日本経済に影響を与え得るとして、今後の動向に注目が集まる。
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