2025年4月から連載をスタートした「DC運営 基礎の基礎」も、おかげさまで第5回を迎えました。冒頭で少しご案内があります。解説をお願いしているコンサルタントの木須貴司さんが8月に独立されました。かわいい社名の「かもめリサーチ&コンサルティング」社長に、DCの運用商品をどう選んだらよいのか伺います。

DCの資産運用の特徴を知ろう

本日はDC運営の「本丸」とも言える運用商品の選び方を伺いたいと思っています。でも本題に入る前に、そもそもDCと個人で資産運用がどう異なるのか。そこから教えていただけますか。

木須 分かりました。個人の資産運用と比べてDCの特徴的な点としては、次の3点があげられます。

1.投資の選択肢が限定的
2.長期・分散投資
3.運用益が非課税

個別株には投資できず

1.投資の選択肢が限定的

木須 NISA(少額投資非課税制度)の成長枠であれば、個別の株式銘柄などにも投資可能ですが、DCの場合は、個別株に投資することはできません。DCでは投資信託、金銭信託、そして預金・保険などの元本確保型商品に投資対象は限定されます。さらに、事業主・運営管理機関が選定した商品ラインナップの中からしか選べません。

ある程度リスクを伴う運用も可能

2.長期・分散投資

木須 DCは、原則60歳以降でないと受け取れません。したがって、たとえば20代、30代の方であれば、少なくとも20年から30年の投資・積立期間があるということです。また、年金や保険のような機関投資家と異なり、負債や短期的な損益を気にする必要もありません。ほかの資産形成制度の利用や家族構成、住宅ローンなどの借り入れの有無など考慮すべきことはたくさんありますが、相対的には、リスクをとった運用が可能と考えられます。もちろん、退職まであと数年という加入者・待機者は、投資元本を減らさないことを意識する必要が出てきます。しかし、それでも制度加入者全体としては、投資期間を長期と想定しておいてよいと思います。

【図表1】投資期間ごとの累積リターンの分布
投資期間ごとの累積リターンの分布
注:期待リターン7%、想定標準偏差18%としたシミュレーション。シミュレーション回数は10,000
出所:かもめリサーチ&コンサルティング作成

長期の投資においては、株式であっても累積リターンのブレはより小さくなります。【図表1】は投資期間を横軸に、縦軸を年率リターンのブレとしてシミュレーションしたものです。投資期間が延びるほど年率リターンのブレが小さくなっていくことが分かるでしょう。期待リターンがプラスの資産に投資しているのであれば、累積収益率がマイナスとなる確率も低下していきます。

またDCの運用は、定期的に入ってくる掛金を指定の投資配分で投資していくことになります。一定の金額で定期的に購入するため、価格が高い時には購入量が少なく、価格が低い時には購入量が多くなります。結果的に平均購入単価を抑える「ドルコスト平均法」と呼ばれる投資を行うことになります。最初から大きな金額で投資する場合と比べるとリスクが低減されるのです。

3. 運用益に対して非課税

木須 運用益に対して非課税というのも、DC運用の大きな特徴の一つです。これはNISAとも同じ特徴です。より高い運用益を期待できる資産に対しては、DCなどの税金がかからない制度を利用して投資する方が有利だといえます。

NISAとDCどちらがよいのか

非課税の運用という意味では、最近はNISAの方が目立っています。DCとNISAどちらがよいのでしょうか。

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