ジャパンデスクを拡充、マーケッツは株式も強化

事業強化の取り組みは。

デラピエトラ 我々はグローバル展開している日本企業や金融機関向けに、経験豊富な日本人バンカーがお客さまの現地子会社をサポートするジャパンデスクをニューヨークやロンドン、シンガポールなどの主要10都市に設けている。2015年にジャパンデスクの代表者とお客さまが一堂に会する「ジャパンデスク・ネットワークフォーラム」を開催したところ、「もっと拠点を増やしてほしい」という声が多数寄せられたことから、要望に応える形でジャパンデスクを2、3カ所増やす予定だ。

また、グローバルで株式のセールスとトレーディング、リサーチの強化に取り組んでいる。この動きに合わせて我々も株式事業の底上げを図っている。

我々の一番の資産は人材であると考えている。リクルーティングにも積極的で、2016年4月にエコノミストの相羽勝彦、投資銀行部門長の浅井勇介、5月に不動産セクター担当アナリストの橋本隆、運輸セクター担当の姫野良太をそれぞれ採用した。外資系金融機関としては珍しく新卒者も毎年採っている。2016年は21人の新卒者が入社した。このうち沖縄県出身の9名は、国内2番目の規模を持つ沖縄オペレーションセンターで勤務している。

人材の多角化をはじめ社会貢献活動にも注力

社会貢献活動にもかなり力を入れている。

デラピエトラ 我々は企業市民としての社会的責任を重視しており、地域社会支援などに積極的に取り組んでいる。

例えば人材のダイバーシティ( 多様性)では、2016年より「ウィメン(女性)」「プライド(LGBT)」「ディスアビリティ(障がい)」の3本の柱からなる「ダイバーシティ・カウンシル」の活動を開始。多様な価値観や属性を尊重し、社員が持てる力を十分発揮できる職場環境の整備に努めている。

このうち「ウィメン」の活動では、2016年3月の「国際女性デー」に伊藤忠商事の執行役員、法務部長の茅野みつる氏の講演や、当社の女性幹部によるパネルディスカッションを実施。「プライド」では、5月に開催された性的少数者への理解を促す「東京レインボープライド」のパレードに、私を含めた6名の幹部社員をはじめ、総勢30名の社員とその家族が参加した。

地域社会支援としては、全世界のシティ社員やその家族がボランティア活動を行う「グローバル・ コミュニティ・デー」を毎年開催している。

グローバルで金融教育の促進にも取り組む。日本では全国の主婦を対象にお金と金融に関するセミナーを開くほか、高校生向けには「エコノミクス甲子園」の全国スポンサーを務め、中学生向けにはお金と将来設計を学ぶ教育用のウェブツールを開発し、金融に関する知識向上をサポートしている。

日本マーケットの将来性はどうか。

デラピエトラ 世界的に見ても、日本にはビジネス機会があると思う。アベノミクスの取り組みも、国際的に高く評価されている。少子高齢化を踏まえた日本企業の海外進出もプラスの要因といえる。

シティの日本のトップとしての今後の意気込みは。

デラピエトラ 日本には、“メインバンク” という独自の仕組みがあるが、我々はグローバルに展開する日本の企業や投資家の海外における“メインバンク”となりたいと考えている。法人・機関投資家ビジネスに経営資源を集中させることで、お客さまの国内外での成長をサポートしていきたい。

グローバル・コミュニティ・デー
2016年6月に開催された「グローバル・コミュニティ・デー」の様子。多摩川の清掃活動などを行った