モンロー・キャピタルは、北米のPD市場に特化したブティック型の運用会社で、運用資産残高は約170億ドルに上る。同社プレジデント 兼 共同ポートフォリオ・マネージャー ジア・ウディン氏は、2023年7月11日、東京都内で開催されたJ-MONEYカンファレンス(主催:J-MONEY)にて、米国ダイレクトレンディング戦略における、ローワー・ミドルマーケットの投資妙味を語った。

経済規模が大きいミドルマーケット

ジア・ウディン氏
モンロー・キャピタル
プレジデント 兼 共同ポートフォリオ・マネージャー
ジア・ウディン

世界金融危機以降、ドッド・フランク法をはじめとした規制の厳格化を背景に、信用力の低い企業への銀行貸し出しが抑制された。銀行に代わる新たな資金供給源として未上場の企業に直接融資するPD(プライベートデット)の存在感が高まっており、足元のPDの市場規模は1.3兆ドルにまで拡大している。中でも、PDの中心的な戦略となるのが、中小企業の資金需要に応えるダイレクトレンディングである。

PDの魅力のひとつが、豊富な投資機会だ。米国のミドルマーケット(中小・中堅企業市場)には、年間収益1000万ドルから10億ドルの企業が20万社近く存在する。これらの企業は、4800万人以上を雇用し、米国の民間部門におけるGDP(国内総生産)の3分の1を創出するほどの経済規模を誇る。さらに銀行の規制強化に加えて、この数年、プライベートエクイティのドライパウダー(投資待機資金)が潤沢に積み上がっていることからも、今後の一層の投資機会拡大が見込まれている。

また金利上昇に伴いクーポンや利回りが上昇すれば、変動金利型であるダイレクトレンディングはインフレヘッジにもなる。加えて、弁済順位も最上位に位置し、所有資産に対し上位の抵当権を有するほか、コベナンツ(財務制限条項)といった構造的な保護を通じた強固なダウンサイド・プロテクションを望めることもポイントだ。

リフィニティブによると、ミドルマーケットへのPDとシンジケートローンを比較した場合のLBO(レバレッジド・バイアウト)トータル・レバレッジ、ならびに第一順位抵当ローン利回りは、いずれもPDがシンジケートローンを上回っている(図表)。その代表格たるダイレクトレンディングは今後も引き続き、低ボラティリティ、かつ良好なリスク調整後リターンを提供するだろう。

■マーケットセグメント別LBOトータル・レバレッジと第一順位抵当ローン利回り
マーケットセグメント別LBOトータル・レバレッジと第一順位抵当ローン利回り
出所: 2023年3月31日時点 Refinitiv LPC’s Middle Market Sponsored Private Deal Analysis
※2023年第1四半期の大企業市場におけるLBOの動きは十分とは言えない

強固な体制とオリジネーション

2004年に設立されたモンロー・キャピタルは、北米のPD市場に特化したブティック型の運用会社で、運用資産残高は約170億ドルに上る。ミドルマーケットの中でも、とりわけ借り手企業のEBITDAが平均2500万ドル程度のセグメントは「ローワー・ミドルマーケット」と呼ばれるが、モンロー・キャピタルは、この市場に焦点を当てたダイレクトレンディング戦略を提供しており、当社が直接組成したシニア担保付ローンに投資する。

ローワー・ミドルマーケットの魅力として、まず、競争の少なさが挙げられる。大手のダイレクトレンダーは、ミドルマーケットのアッパー領域に集中しているのに対して、ローワー・ミドルマーケットは広大で、かつ非常に細分化されているため比較的競争が緩やかだ。

また、手掛ける案件は比較的小規模のため、独占的なレンダーになれる点も重要だ。モンロー・キャピタルではオリジネーションの専門チームが直接ファンドを組成し、単独のレンダーになる。他の銀行との調整が不要で、万が一問題が発生しても迅速に対応できる利点がある。オリジネーションは投資先との相対交渉を前提とするため、プライシングやコベナンツ、レバレッジなど各条件に関して当社がアクティブにコントロール可能だ。ストラクチャーの面では、一般的にはレバレッジが4倍未満、LTV(総資産有利子負債比率)が30 ~ 35%程度の保守的なストラクチャーを好んでいる。

また当社自身がエージェントとなり、スポンサーおよびノンスポンサーのローワー・ミドルマーケットのローンに焦点を当てることで、投資家の経済効果を高め、投資の多様化を図っている点も特筆に値する。ローワー・ミドルマーケットへの投資を謳うレンダーの中には、実際にはそのエクスポージャーを保持していないケースもみられるが、モンロー・キャピタルは、真に他のファンドと差別化されたエクスポージャーを有している。

この10~15年間ほどはダイレクトレンディング市場全体が成長していたため、多くのプレイヤーが利益を獲得できていた。しかし、投資機会が多様化した分、細分化が進んだローワー・ミドルマーケットで勝ち抜くには、豊富な経験と深い知識が欠かせない。今後は一層マネージャーの能力が問われるようになるだろう。

クレジットファースト・ゼロロス

モンロー・キャピタルは、米国に8つのオフィスを構え、大規模で多様なオリジネーションチームを擁する。専門知識を持つ23名のオリジネーターが、ソフトウェアやヘルスケア、メディア、スポーツなど各専門のセクターごとにオリジネーションを行い、年間約2000件もの投資機会を探索・精査する。運用段階でも、約90名のプロフェッショナルからなる経験豊富な運用チームが、ソーシングからデューデリジェンス、モニタリングまで行うほか、毎月2~4回程度、企業にハンズオンで状況をヒアリングし、付加価値向上のドライバーを探る。

さらに当社は、低レバレッジ、50%未満のLTV、強固なコベナンツを備えた、高品質で分散された第一順位抵当権付ポートフォリオを構築することで、低いデフォルト率と予測可能なリターンを実現する「クレジットファースト・ゼロロス」の投資哲学を掲げる。過去に手掛けた650程度のディールのうちデフォルトした案件の回収率は1ドルに対して99セントと、非常に低い損失率を実現している。

このように、モンロー・キャピタルは約20年間にわたる案件執行の実績を基に、高度に専門化されたチームがオリジネーションからポートフォリオ・マネジメントにいたる全てのプロセスにリスク管理を組み込むことで、投資家の資金保護に努めている。実際に、ローワー・ミドルマーケット領域におけるアワードも多数受賞しており、同市場におけるトップクラスのシェア獲得に繋がっている。

最後に、ローワー・ミドルマーケットを取り巻く今後の見通しについて当社の見解を述べよう。インフレは落ち着きつつあるものの、FRBの目指す水準とはいまだギャップが大きい上、労働市場はタイトであるなど、米国経済が上向く前にマーケットはもう一度痛みを伴う局面を迎えるのではないかと考える。また、2023年に入り、米中堅銀行の破綻が相次いだが、今後はそのようなボラティリティと不確実性が一層増していくとみている。銀行はこれまで以上に融資を控えることが予想され、PD投資のオポチュニティ拡大に繋がるだろう。

PD市場ではボラティリティや不確実性が大きいときこそ、経験豊富で潤沢な資本を持っているプレイヤーに勝負のチャンスがある。実は、モンロー・キャピタルが投資家の皆様にベストなリターンを提供できたのは2007年と2008年だった。2022~2024年のPDファンドは過去10年以上で最も優れたビンテージになるとみている。投資家の皆様には、ローワー・ミドルマーケットへの投資をぜひ検討いただきたい。

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モンロー・キャピタル

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