防災・減災への備えをクレジット市場から考える

エグゼクティブ・フェロー
中空 麻奈氏
2026年7月28日に起こった熊本県を震源とする地震は「令和8年熊本地震」と名付けられた。発生から数週間を経ても未だに甚大な被害をもたらしたままながら、さまざまな企業や生活の復旧・復興が始まっていることは心強い限りである。
熊本に工場を展開したり、拠点を保有したりする企業はそれなりに多い。TSMC(台湾積体電路製造)、ソニーグループ、ルネサスエレクトロニクスなど半導体から、トヨタ自動車、ホンダ、日産自動車など自動車、キリンホールディングス、サントリーホールディングス、山崎製パンなど食品、それからイオン、セブン&アイ・ホールディングス、ローソン、日本マクドナルドなどBtoCの業態まで多数。比較的多くの工場や店舗が力強く営業再開に踏み切っていることが伝えられている。
これら企業は地震の影響でサプライチェーンに影響が出ても、製品在庫で対応したり、バックアップ工場の稼働に切り替えたりするなどして、迅速な対応を見せており、さすがのニッポンの強靭性を発揮している。事業継続計画(BCP)や緊急時対応計画(コンティンジェンシープラン)が形式的に置かれているわけではなく、ちゃんと機能を発揮していることがわかり、世界に誇れるものである。
死者を出した日本製紙とイオンは、相対的にクレジットへの悪化が懸念されるが、それぞれ危機対策本部、事故調査委員会の設置を速やかに行い、対応しており、クレジットイベントが生じたときの初動としては適切な対応が取れていると言える。収益へのネガティブな影響が出てくるのはこれからだが、信用力を揺るがす話にはならないで済むと見ている。
しかしながら、地震に限らず、千葉の大雨といい、日本には数多くの自然災害があることに今さらながら気づかされる。どう対応するかは喫緊の課題だ。政府の地震調査研究推進本部によると、首都圏直下型地震は「今後30年以内に70%程度」の確率で、南海トラフ巨大地震は同「60~90%程度以上」の確率で発生するのである。どう備えるか。
国の財政余力
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