世界の不動産価格の底打ちと「金利のある世界」への移行を受け、不動産デットの投資妙味が高まっている。世界有数の不動産投資運用会社PGIMは、米国・欧州・豪州それぞれの市場特性に合わせ、リスクを抑えながらネット9%以上のリターンを狙うデット戦略群を展開する。PGIMジャパンの川瀬千枝氏に、その着眼点と強みを聞いた。

川瀬 千枝氏
PGIMジャパン
グローバル資産運用部 エグゼクティブ・ディレクター
川瀬 千枝

地域特性を捉える戦略でリターン目線を切り上げ

機関投資家の間で、不動産デットへの関心が急速に高まっている。転機となったのは不動産市況の調整だ。2022年から2024年にかけて、グローバルの不動産価格は平均で約20%と、ほかの資産クラスに比べても大きな下落を経験した。PGIMジャパン グローバル資産運用部エグゼクティブ・ディレクターの川瀬千枝氏は「価格が底打ちし、回復局面に入った現在は、エントリーポイントとして非常に良いタイミングだ」と語る。

もっとも、地政学リスクをはじめ不確実性は残り、投資家のリスク意識は依然として高い。「不確実性が意識される局面では、エクイティクッションを備え、下方耐性に優れるデットへの投資が好ましい。しかも国内外の金利上昇やヘッジコストの高まりで、投資家のリターン目線は従来主流だった1桁台後半から一段切り上がっている。下落リスクを抑えながらより高いリターンを狙える不動産デットは、今の環境に合致した投資対象だ」(川瀬氏)。

川瀬 千枝氏

具体的にはどのような不動産デット戦略に注目すべきか。PGIMが提案するのは、米国・欧州・豪州それぞれの不動産市場に生まれる投資機会を確実に捉え、ネットで9%以上、2桁に迫る期待リターンを狙う不動産デット戦略だ。「不動産デットはエクイティ以上に地域差が大きい。同じリターン水準を目指すにしても、地域によってどこでリスクを取り、どこで取らないかを変えるのがポイントになる」(川瀬氏)。

まず、銀行のシェアが4割を下回り、政府系のエージェンシーローンやバック・レバレッジ(デットファンド向けの銀行融資)の市場が発達する米国では、約340万戸と推計される構造的な供給不足が続く賃貸住宅に特化したトランジショナルローンからなるPGIM米国不動産住宅特化型デット戦略『PRECRED』を提供している。エージェンシーローン提供の最大手の一角を占め、エージェンシーと良好な関係にあるPGIMには借り換えを見据えた案件の相談が集まりやすく、物件の稼働を高めてエージェンシーローンでの借り換えを出口とする2~4年の変動金利ローンを組成。出口の確度でリスクを抑えつつ、バック・レバレッジを活用してネット9~11%のリターン獲得を目指す。

一方、欧州では、建築規制やESG規制で新規供給が構造的に不足し、築20年超の物件が8割を占める中で、優良物件を生み出す開発・大規模リノベーション向けの欧州不動産デット戦略『PRECAP』を展開する。欧州は、リーマンショック後に銀行が規制により縮小し始めたため、デット市場は歴史が浅く、いまだ競争が緩やかでスプレッドが厚く残るのも特徴だ。貸出は許認可取得済みで建築コストが確定した案件に限定し、融資先も事業拡大のために自らコア不動産を創出する優良企業が中心。その8割は過去に融資実績のあるスポンサーだ。LTV(担保掛目)85%以下で15%以上のエクイティクッションを確保しながら、ネット12%のリターンを狙う。

アジア太平洋地域は日本と同様に銀行の存在感が圧倒的で、運用会社が入り込む余地は限られているが、唯一の例外が豪州だ。「人口・雇用・所得がそろって伸びる豪州は、旺盛な需要に対して優良物件が不足する成長市場であり、『PRECAP』と同様に物件を創出する融資を行う豪州不動産デット戦略の提供を予定している」(川瀬氏)。

■不動産デット:地域による投資機会の違い
不動産デット:地域による投資機会の違い
予測は保証されたものではなく、将来の結果を示す信頼できる指標になるとは限りません。分散投資は利益を保証するものではなく、損失を回避できるものでもありません。
1 出所: PGIM、2025年5月時点
2 出所: PMA, PGIM、2025年5月時点
3 出所: ABS, 2023 Intergenerationalレポート, CBREリサーチ, PGIM、2025年5月時点
4 戦略の提供をお約束するものではありません。

ここで川瀬氏は、より安定的な運用を志向する機関投資家に対し、安定稼働物件へのシニアローンに絞ったオープンエンド型の米国コア不動産デット戦略『USCDF』にも注目を促す。「安定志向でもデュレーション調整後A格社債を100bps 超上回るリターンが期待できるうえ、損失率やデフォルト率は社債を下回る。保守的な運用で知られる当社の親会社の米プルデンシャル・ファイナンシャルも、債券ポートフォリオの15%をコア不動産デットで運用している」(川瀬氏)。オープンエンド型のコアデット戦略を提供できる運用会社はグローバルでも数少ない。

厳選投資を支えるオリジネーション力

こうした不動産デット戦略を語るうえで、55年超の投資実績を持つPGIMの不動産投資プラットフォームも無視できない。足元でPGIMの不動産運用・管理資産残高は約2,100億ドル(約30兆円)に上り、エクイティとデットがほぼ半分ずつを占める。不動産デットについては資金調達額で世界2位を誇り、米国以外やコア戦略以外への投資配分も厚く、地域・戦略の両面でグローバルに分散されたポートフォリオを構築している。それでいて過去15年の年間実現損失率は0.02%未満と、規律ある運用は欠かしていない。

■不動産市場における専門性
不動産市場における専門性
過去の実績は、将来の結果を保証するものでも、依拠すべき指標でもありません。特に記載のない限り、2025年9月30日時点のPGIMの不動産部門のグローバルベースの実績について記載しています。
1 グロス運用資産残高/管理資産残高です。ネット運用資産残高は1,390億米ドル、管理資産残高は493億米ドルです。
2 第三者によるパフォーマンスランキング:第2位:PGIMリアルエステートは、2025年11月発行「Pensions &Investments(P&I)」の「The Largest Real Estate Investment Managers」リスト(63社が回答)のグローバルにおける不動産運用資産額ランキング2位です。第2位:PGIMリアルエステートは、2025年5月に発表されたPERE社が実施する不動産デット戦略への外部投資家資金募集実績調査において50社中第2位に選出されました。
3 ローン管理業務だけを提供する物件は含んでいません。
4 パフォーマンスランキングは、利用可能な場合、PGIMリアルエステートによる業界指標/ベンチマークの分析、および社内データに基づきます。
5 2024年12月31日現在(年次更新):PGIMがグローバルで運用する不動産クレジット戦略で2009年から2024年までに実行したローン総額に占める実現損失の比率(年率)です。

なお、川瀬氏が強調するのが、PGIMのオリジネーション(案件組成・獲得)力だ。「デットは満期ごとに元本が戻るため、良い案件に再投資し続ける力が問われる。だが、それには借り手に選んでもらうことが欠かせない。優れた金利条件を提案するだけでは不十分で、借り手と投資側は数年間の付き合いになることから、困難な局面でともに解決策を探ってくれる貸し手かどうかが重視される。当社はコアからメザニンまで全てのリスク・リターン領域で融資しており、借り手は様々な物件タイプや借入ニーズをまずPGIMに相談しようと考えてくれる。PGIMから借り入れている7割以上がリピーターという実績に表れる借り手との信頼関係が優良案件を厳選できる源となっている」。

その成果は実際にトラックレコードに表れている。PGIMは昨今のオフィス市場の低迷を受け、1案件の規模が大きいために投資がしやすいものの、セクターとして変動が大きいオフィス投資の比率を抑える一方、住宅や物流など堅調なセクターの案件を複数束ねて機動的に資金を回すアプローチを採ってきた。結果、例えば日本の投資家も多く投資する米国不動産デット戦略『USDF』は、米国オフィス価格が半値近くまで下落した調整局面を含め、全ての四半期でプラスのリターンを確保してきたという。

「PGIMのオリジネーション力を土台とした不動産デットは、安定感とリターン獲得力を兼ね備えている。オルタナティブ投資としても、債券代替としても、日本の機関投資家の運用に貢献できるはずだ」(川瀬氏)。

過去の実績は、将来の結果を保証するものでも、依拠すべき指標でもありません。全てのデータは記載がない場合は2026年5月末現在。
【その他留意事項】本稿は、情報提供を目的としたものであり特定の金融商品の勧誘、販売を目的としたものではありません。本稿で紹介している戦略への投資にあたっては、当社と投資一任契約を締結いただき、PGIM,Inc.が運用する不動産デットに投資をする外国籍リミテッド・パートナーシップの持分に投資します。
【リスク】不動産デット戦略には、以下の主なリスクがありますが、それに限定されるものではなく、元本欠損または当初元本を上回る損失が生じる可能性があります。保有ローンが不履行状態になり利率の著しい低下や価値の減少が発生するリスク。流動性に関するリスク。価格変動リスク。為替変動リスク等。
【費用】当社と投資一任契約を締結する場合、運用財産から控除される運用報酬として、運用財産に対し最大165bps(税抜150bps)がかかります。さらに組み入れるファンドの費用として最大95bpsをご負担いただくこととなります。この費用はファンド内から控除されます。また、ストラクチャー変更関連経費や管理費用等その他の費用・手数料が発生しますが運用状況により変動するため、事前に料率・上限額を表示することができません。このため投資家が実質的に負担する費用の合計額または上限額を表示することができません。PGIMジャパン株式会社は、世界最大級の金融サービス機関プルデンシャル・ファイナンシャルの一員であり、英国プルーデンシャル社とは関係ありません。

PGIMジャパン株式会社

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