2026年1月調査で「景気リスク」第1位は連続で「米国景気の悪化」。しかし、第2位以下は大きく変動

宅森 昭吉
日本経済研究センターが取りまとめている「ESPフォーキャスト調査」1月調査は2026年1月15日に公表された。特別調査として、4半期に1度実施されている景気のリスクの第1位は前回2025年10月調査と同じ「米国景気の悪化」だった。回答数は34人から27人に低下した。
第2位は「国際関係の緊張や軍事衝突」で20名だった。前回までの1ケタ回答から急増した。アメリカとの緊張が続く南米ベネズエラの首都カラカスで2026年1月3日未明、複数回の爆発が起きた。トランプ米国大統領はベネズエラを軍事攻撃し、マドゥロ大統領夫妻を拘束して米国に移送した。また、イランでは物価高騰への不満から大規模な反政府デモが発生していて、イラン政府がこれを厳しく弾圧している、これに対してもトランプ大統領は「いつでも軍事介入の準備ができている」としている。こうした状況が発生したのが、ESPフォーキャスト調査1月調査の回答期間2025年12月24日~2026年1月8日の間だったことが、「国際関係の緊張や軍事衝突」が第2位に急伸した背景だろう。
第3位は「株価の急落」で15人が回答、前回の7人から倍増となった。最近の株価急騰をAIバブルなどとみる見方が背景か。一方、前々回の2025年7月調査で第1位、前回第2位だった「関税引き上げなどを含む保護主義の高まり」は6人で、前回の20人から急減し第5位になった。トランプ関税による景気後退の可能性が小さくなったと判断したエコノミストが多いようだ。
―半年から1年後にかけて景気上昇を抑える(あるいは景気を反転させる)可能性がある要因―

出所:日本経済研究センター「ESPフォーキャスト調査」から筆者作成。
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2026年度の実質賃金・前年度比はプラスに転じる見込み
1月調査の消費者物価指数・生鮮食品除く総合の前年同期比・総平均予測は、2025年10~12月期は+2.78%と、12月調査の+2.55%から上方修正となった。2026年1~3月期は+1.90%と0.88ポイントと大きく鈍化する見通しだ。ガソリン暫定税率廃止や電気・ガス料金補助など物価対策効果の効果が出るためだ。2026年は+1%台で推移するというのがコンセンサスの見通しである。
消費者物価(生鮮食品除く総合)の前年度比・総平均予測は2025年度+2.77%、2026年度+1.85%、2027年度+1.99%である。

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2025年11月速報値で名目賃金(現金給与総額)の前年同月比は+0.5%、消費者物価指数総合の前年同月比は+2.9%、消費者物価指数総合で実質化した実質賃金の前年同月比は▲2.4%とマイナスである。
「ESPフォーキャスト調査」1月調査で名目賃金指数の前年度比・総平均予測は2025年度+2.51%、2026年度+2.53%、2027年度+2.47%である。消費者物価指数総合の予測値はないので、消費者物価(生鮮食品除く総合)の総平均予測で実質化し、実質賃金の総平均予測の試算値を求めると、2025年度▲0.25%、2026年度+0.68%、2027年度+0.48%になる。
2025年度はマイナスだった実質賃金の前年度比は2026年度以降プラスに転じる見込みである。実質賃金増→消費増の好循環が生じる可能性が高まりそうだ。

2026年末までに日銀は政策金利を1.0%まで引き上げるという見通しが大勢
緩やかながらも緩やかな景気拡張局面が続く中、日銀の金融政策も正常化の方向に進みそうだ。
最も回答が多かった政策金利の水準を見ると、2026年6月末の時点では現在と同じ0.7~0.8%で、0.75%で変わらずの見通しだ。2026年12月末には、1.0~1.1%が最大で、1.0%に0.25%引き上げられるという見方が多い。
1月調査で初めて2027年の見通しを訪ねている。12月末では1.2~1.3が18人で過半数になっている。現在と変わらず0.7~0.8%と回答したハト派の人から、1.7~1.8%と回答したタカ派の人まで、結構分散した結果となっている。

(注2)予測値分布は金利のレンジを表す。例えば「0.5~0.6」は「「0.5以上~0.6未満」の意味。
(注3)最多回答数の色が濃い。
出所:日本経済研究センター「ESPフォーキャスト調査」
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