超過リターンの源泉として、プライベートアセットはもはや欠かせない資産となっている。プライベートエクイティ(PE)やプライベートデット(PD)、不動産・インフラともに市場が成熟に向かう中で、今後も安定的にリターンを生み続けるためには、従来とは異なる戦略が求められそうだ。投資家が打つべき「次の一手」とは。
PEのエグジットの長期化とパフォーマンスの二極化

代表取締役社長
佐村 礼二郎氏
プライベートアセット市場、とりわけPEにおいてここ数年顕著な現象が、投資家が投資資金を回収するまでの時間の長期化だ。2022年頃から、米国などでIPO(新規株式公開)やM&A(合併・買収)が低調となり、エグジットが困難な状況が続いた。多くのファンドが、分配金の支払いなど投資資金の還元に苦慮している。
米国ではPEのブームに乗じて立ち上げられたファンドのうち、質が伴わないものも少なくなく、投資先企業の4割が5年以上にわたって資金を回収できていないという報道もある。
PEは現在に至るまでほとんどの時期において、パブリックな株式市場のリターンを上回るパフォーマンスを上げているが、その多くが近未来のキャッシュフローを伴わない「未実現価値」で、資金の回収までの期間が長引くとすれば、機関投資家にとってはPEの見直しを余儀なくされることとなる。実際に米国の大学基金では、一部の名門大学に対してトランプ政権が連邦助成金を停止した影響もあり、低流動性資産であるプライベートアセットの売却を模索する動きも見られる。

海外プライベートエクイティグループ
ヘッド
宗川 弘氏
「ファンド募集において、二極化がさらに進行しつつある」と指摘するのは、エー・アイ・キャピタル代表取締役社長の佐村礼二郎氏だ。ゲートキーパーとしてプライベートアセットを長年注視してきた佐村氏によれば、PEの環境は2025年後半から回復傾向にあるものの、ファンドごとのパフォーマンスの差はこれまで以上に大きくなっているという。
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